国内最高齢者ご逝去【厚生労働省の報道発表資料】

厚生労働省の報道発表資料は毎日チェックしています。この前、この記事を見つけました。

国内最高齢者 ご逝去について

社会保険労務士として興味があるのは、亡くなった方の年金についてです。記事からは分かりませんが、明治36年生まれということは、昭和36年4月1日国民年金が発足した当時すでに58歳ですから、老齢年金は保険料を支払う暇がなかった方です。ということは、無拠出の年金が出ていた方かもしれないと思いました。

もちろん配偶者が亡くなったことによる遺族年金を受給していた可能性もありますので、なんともいえないのですが、老齢福祉年金の可能性もあるかと思いました。老齢福祉年金と言うのは現在日本で受給者が7名程度しかいない、とても古い年金です。

年金に詳しい社労士さんでもたまにこの制度をご存じでない方がいらっしゃって、「そうか、もう老齢福祉年金はオワコンなんだな」と寂しい気持ちになります。私は昔市役所の年金の窓口を担当していたときにこの制度に少し関わったので、懐かしく思い出します。

老齢福祉年金と言うのは、国民年金制度発足当時、無拠出の年金として始まった制度です。当時すでに高齢で、今から保険料を支払っても年金をもらうことのできる年数にはとうてい達しないような方たちに、保険料をかけたことがなくても福祉として支給することにした年金です。

以前別のブログで老齢福祉年金について書きました。

今回亡くなった方が、福岡県の老齢福祉年金受給者だったとしたら、また一人受給者が減ったことになります。

年金と言うのはとても息の長い制度です。1度の改正で、50年先、100年先の未来を見越して計画すると以前習いました。老齢福祉年金が発足当時いつ終わるものとして計画されていたか存じませんが、国民年金が始まって61年経つ今も続いているということに、驚きと感動を覚えます。国民の中に年金制度に対する不信感が強いようですが、私は逆にこの国の年金制度に信頼感を覚えます。その理由の一つが、この老齢福祉年金が現在も続いていることにあります。

最近、こんなのも始まりました。

スマホで簡単に年金額試算「公的年金シミュレーター」を4月25日から試験運用を開始します!

公的年金シミュレーターの精度はあまり大したことがないようですが(正確な年金額を計算するものではない)、おもしろい試みだと思います。

年金定期便にしても、以前はなかった制度です。この国の年金制度が、これからも国民に信頼される制度であってほしいと思います。