国民年金保険料の告示期間全期間前納について

国民年金保険料は口振で前納すると安くなることは知られていますが、退職したばかりの人が口振で支払いたくても手続きに時間がかかるので、すぐには口振にはできないことが多いです。そこで、納付書でも前納することができるようになっているのですが、納付書の場合、口振よりは割引率がよくないのです。しかし、それでも少しでも安くしたいなら、告示期間の全期間前納という方法もあります。

国民年金前納割引制度(現金払い 前納) – 日本年金機構

告示期間の全期間前納とは

国民年金保険料というのは定期的に見直しされていて、見直しの都度、官報で厚生労働省が告示します。だいたい2月から3月にかけてです。告示される対象の期間はだいたい2年ですが、3年先まで告示された年もあったと記憶しています(ずっと保険料が据え置かれたときにはもっと長い期間の告示もあったような、うろ覚え記憶もあります)。

最近だと、今年の2月15日に、令和6年3月分までの期間について告示が出ました。この令和6年3月までを「告示期間」と呼んでいます。

2022年2月15日官報の告示。

納付書での前納の場合、6か月や1年分を案内されることが多いと思いますが、

任意の月分から当年度末または翌年度末までの分を前納することも可能です。この場合、専用の納付書が必要となりますので、年金事務所までお問い合わせください。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-01.html

とありますように、年金事務所に依頼すれば、希望の期間分を前納することができます。ただし、区切りのいいところまでと決まっていますので、「3か月後に就職が決まっているから3か月分だけ前納したい」というような前納はできません。

前納は、年4分の利率による複利現価方式で計算します。複利現価法については説明しません(説明できません、すみません)。要は、長い期間であればあるほど安くなるってことだけは間違いないです(乱暴)。

という訳で、6か月よりも1年よりも、告示期間の全期間を前納してしまうのが、納付書で支払うのでは最も安くなるという訳です。

年金事務所には電話でなくFAXで

年金機構のホームページには次のように書いてあります。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-01.html

「年金事務所までお問い合わせください」とありますね。

ところが、年金事務所に電話しても、まずつながらないですね。ヽ(´∀`)ノ

年金事務所に粘り強く電話をかけて依頼してもいいのですが、私は5回くらいトライして、挫折しました。

全然つながりませんね・・・・。_:(´ཀ`」 ∠):

年金事務所のFAXの番号が公開されていたので、私は自分で告示期間の全期間前納の金額を調べてFAXで依頼しました。

金額や期間に間違いがなければ納付書を発行して送付してください、なにか間違いがあるようなら電話してくださいと本文に書いて送ったら、特に電話もなく、何日か経ったらちゃんと送ってきてもらえました。

ちなみに、私の場合は付加保険料付きの告示期間全期間前納をしましたので、結構な金額となりました。当時の家計簿を見てみると、345,560円でした(普通に支払うより11,230円安かった計算です。当時の話です)。

我が家は、どうせいつか払うものならさっさと払ってしまえというポリシーなので、特に気にはしませんでしたが、先立つものがないとか、そんな先の分まで払って就職したら無駄になるじゃないか!とかお考えの方にはお勧めしません。なお、前納後厚年に加入で国年を資格喪失したら、ちゃんと喪失後の期間の分は還付してもらえます。時間はかかりますが。

なお、告示期間のあとは口振で2年前納するようにしました。

確定申告では分割で使うか、一括で使うか、選択できる

確定申告で社会保険料控除を使うときは、一括で使うか、分割で使うか、選択できるようになっています。

一度分割とした場合は、二度と一括で使うことはできません。その逆もまたしかり。

分割というのは、年区切りで使う方法です。例えば私の場合は、2021年7月から2023年3月分までを前納したので、足掛け3年ですので3年分です。社会保険料控除証明書はどちらでも使えるように送られてきますので、どちらか選択して使ってください。

国民年金保険料控除証明書が2021年11月頃送付されたときの、裏面注意書き。3年分に分けて申告した場合、まとめて使うやり方には戻せないことが書いてあります。また、最初の年だけ分割で、次の年に残りの2年分をまとめて使うといった使い方もできないことが書いてあります。

控除証明書の例。私が2021年11月頃にもらったものの一部です。令和3年分は確定申告で使ってしまったので、もう手元にありません。

検認対策では告示期間前納の説明は必須だった

ここから先は年寄りの昔話かつ愚痴なんで、読まなくていいです。

昔まだ収納事務が市町村事務だったとき、収納対策を検認対策と言っていました。検認対策では滞納とか未納とか、少しでも減らしたいので、私のいた区役所では、窓口で国民年金に加入した市民に、告示期間前納について説明するのは必須でした(平成10年くらいの話です)。

でないと、クレームが来たものです。少しでも保険料が安くなるなら知りたかった!と。

なんでお得な情報を教えてくれないの?!これだからお役所は!というクレームをもらうと、辛いものがあります。

前納の場合、納付期限がタイト(前納期間開始月の月末まで)ですから、今さら説明しても遅すぎる場合が多いのです。だから、最初の段階で全部の説明をしておかないと後でもめる、だからちゃんと丁寧に説明しようと私たち市役所(区役所)の窓口職員はがんばっていました。

もちろん、払えない方もいますので、そういう方には免除制度をご案内していました。

それでですね、その後検認事務が国に吸い上げられ、やっと国に責任をもって保険料の徴収もやってもらえると思っていたら、びっくりしたのがこの前納制度の説明です。

窓口で全然説明していませんね!

「え?それでいいの?!」と思いました。

あちこちのホームページをのぞいたのですが、社労士さんでも税理士さんでも、告示期間前納についてはノータッチのことが多く、日本年金機構のHPでもさらっと書いてあるだけです。

平成10年~平成13年の話ではあるのですが、当時告示期間前納の一覧表というのが区役所の窓口に備え付けてあって、いつでも市民に金額を答えられるようにしてありました。

ところが、今市町村の窓口で加入手続きをとっても、市町村では収納対策はしていないので、保険料のことは聞いても分からないですね。年金事務所に聞いてくださいとなっています。

では年金事務所に聞いてみようとしても、例によって電話が全くつながらないのでした。

なんだかな・・・とため息が出ます。市役所職員当時、私は、国民年金は国の制度であって地方自治体には直接は関係のない制度ではあるけれども、年金制度は市民の生活に直結しているのだから、市民にとって大切なものだからと思って、市民のためにあんなに必死になって、あんなに一生懸命やってきたのに、こんなにサービスの質を落とすんだ、国って・・・と思いました。

以上、年寄りの愚痴でした。