勤務間インターバル制度導入促進セミナー
- [記事公開]2022.11.30
- 勤務間インターバル制度
- 勤務間インターバル制度
勤務間インターバル制度導入促進セミナーに参加しました。
いくつか気づきがあったので紹介します。
導入のハードルは意外と低い
勤務間インターバル制度は2019年から「努力義務」となっています。
2019年と言えば、時間外労働の長時間規制も導入された年でもあります。
1日8時間労働の人が夜10時まで残業したとしても、翌朝9時以降に出社するのであれば、11時間のインターバルが確保されているというのが、上図の意図するところです。
制度として宣言はしていなくても、特に事務職や定型的な業務の場合、長時間労働の上限規制によって、1か月の時間外労働は45時間まで、ある一定の条件のもと80時間までとなっていますから、すでに勤務間インターバルが実現できている可能性が高いというお話でした。
つまり、勤務間インターバル制度というのは、導入にあたってのハードルは意外と低いということです。
なぜ長時間労働規制だけではだめなのか
では、なぜ長時間労働規制だけではだめなんでしょうか?
2019年に導入された長時間労働規制は義務、勤務間インターバル制度は努力義務です。
だったら、義務である長時間労働規制だけを守っていれば、ひとまずはいいのではないか、なぜわざわざ勤務間インターバル制度を導入する必要があるのかという問題提起がありました。
これに対して、2つのハッとする回答がありました。
一つ目。
長時間労働規制は毎月月末にしか経営者がチェックせず、そこで45時間を超えている人を把握しても、睡眠時間は寝だめできないので、対応として遅いということです。
勤務間インターバル制度の場合、日々睡眠を確保するという目的でチェックするので、労働者の健康が確保できます。
二つ目。
メッセージ性です。
勤務間インターバル制度を導入していると宣言することが、いかに会社が社員を大切にしているかということを示すメッセージになる・・・・と、新卒採用に力を入れている企業の社長さんがおっしゃっていました。
現在の新卒は、働きやすさやワークライフバランスを重視していますので、よい戦略だと思いました。
意外な効果
勤務間インターバル制度を導入したことによって、当初は意図していなかった思いがけない効果が生まれたことが紹介されていました。
従業員が満足し、離職率低下
上図の緑色の棒グラフは従業員満足度が向上したものを指しています。最も多いのが、賃金ではなく、勤務間インターバル制度を導入したことでした。離職率が低下したものを指すオレンジ色も、勤務間インターバル制度を導入が最も高くなっています。
出生数増加
また、勤務間インターバル制度を導入した企業において、従業員の家庭で生まれた子ども数が導入前に比べて4.5倍も増えたという事例が紹介されていました。
この会社では、長時間労働規制もいっしょに実行していますので、勤務間インターバル制度の効果だけではないようですが(社長が「残業ゼロ」宣言をした)、それにしてもこの少子社会においてすごい数字だと思いました。
社員だけでなく、社員の後ろにいる社員の家族たちも満足している証拠ではないか、という分析でした。
仕事の属人化が解消
勤務間インターバル制度を導入することで、従業員が会社に来ない時間ができることになります。そこで、従業員の間で、それまで個人のローカルPCに入れていた情報も、いったんクラウドに上げようとする動きが生まれました。
その結果情報が共有され、この人しかできない仕事というのが減り、効率がよくなるという効果が生まれたそうです。
感想
パネリストの方がおっしゃっていた、「2019年に努力義務化したとき、エビデンスが少なかった。今はたくさんのエビデンスが出た。ぜひたくさんの研究結果をみてほしい。インターネットでどれも公開されている。勤務間インターバル制度は睡眠を確保し、労働生産性を向上させている」というお話が印象に残りました。
わが夫の長時間労働をなんとかしたくて調べ始めた勤務間インターバル制度でしたが、とても効果の高い、しかも導入にそれほど費用はかからないものだと知りました。
ちなみに、これに関連した助成金もあります(ただし、令和4年度分の申請期限が2022年11月30日、本日までです)。
勤務間インターバル制度を導入するのに、それほどハードルが高くないわりにメリットが大きいので、検討してみては。
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