【就業規則】退職の申出

就業規則に「労働者が退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して〇〇日を経過したときは、退職とする」などと書くことがあります。

この〇〇日の部分はたいてい14日と書くことが多いです。

就業規則の退職規定

これは、民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)に基づいています。

民法627条では、第1項で、

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

と定めていますから、退職届(願)を提出して2週間を経過した後は退職扱いになります。この規定は強行法規ですから、これに反するような運用をしている場合、法廷闘争の場に持ち込まれたら会社不利となる可能性が高いです。

2020年の民法改正

ここからが本論です。

2020年に民法の法改正がある前、627条2項は、次のような規定となっていました。

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

改正前民法627条2項

例えば毎月末締、翌月10日払いの日給月給制の会社で、3月末で退職したかったら、3月15日までに申し出た場合は3月末退職となりますが、3月16日以降に申し出た場合には翌4月末に退職となります。1か月どころか1か月半待たないと退職できない事態になります。

多分これを受けて、多くの会社で退職の申出は1か月前までにというような就業規則にしていたところが多かったのではないかと思います。

ところが、この部分が改正になりました。改正後は以下のとおりです。

期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

改正後民法627条2項(太字とハイライトは筆者)

2項の趣旨は、労働者ではなく使用者からの解約の申入れの場合にのみ制限を設けることです。労働者側は1項の方が適用され、いつでも退職の申出ができ、2週間経過後には退職が成立するという訳です(年棒制は除く)。

なんでこんなことを記事にしたかというと、就業規則にいまだに「1か月」としている企業さんが見受けられるからです。しかもせめてやわらかい表現で規定してあればまだしも、「ねばならない」と義務づけているかのような規定を拝見し、これは困ったと思いました。

法改正時の修正もれだと思われます。

就業規則の見直しを

「1か月というのはあくまで会社からのお願いであって、強制している訳ではない」とおっしゃる企業様もあります。それはそれでよいと思うのですが、現場レベルまでそれが浸透しているでしょうか・・・?「就業規則にこう(1か月)書いてある。君が出してきた退職届では期間が短すぎるからダメだ」などとうっかり言ってしまっている管理職の方はいませんか?

本人が退職を希望しているのに、(法的に)不当な理由で退職させないと、労働基準法上最も重い罰則の「強制労働」をさせているとみなされてしまうおそれがあります。

強制労働なんて、奴隷制じゃあるまいし今の現代社会においてありえないと思ったら大間違いです。割と最近の裁判例でも、強制労働を争われた事件があります。やはり離職に際してでした。

これくらいの修正であれば、自社でできるという企業においてはぜひこの機会に見直してみてください。

やっぱり自社でやるのは不安だ・・・という場合は、社会保険労務士を頼ってください。

弊事務所でも就業規則の修正、作成、チェックを承っています。