社会保険料にまつわる小話
昔、勤めていたときの社会保険料にまつわる話を2つ。
ひとり社会保険料拡大化計画
ひとりで社会保険料を拡大化しようと画策していたことがあります。
当時、時短で勤めていました。確か標準報酬等級は8等級でした。これを、9等級にしたくて、4月~6月の3か月、一生懸命仕事を入れてもらったことがあります。
当時、夕方4時までの契約でしたが5時までやったり、夫の仕事の都合がつくなら夫に子どものお迎えに行ってもらい、私の方が残業で夕方7時くらいまでやったりして、3か月の平均が122,000円を超えるよう調整しました。
ふつうは、逆です。4月~6月は残業しない方がよいと言われています。定時算定では残業代も含めて計算するからです。3か月の残業代も含めた給与の平均が、次の1年間の保険料を決めることになります。保険料が高ければ、労働者にとって手取りが減るのでふつうは好ましくないこととされています。しかし、当時の私はそうは考えませんでした。
報酬等級のランクアップは、短期的に見れば損するように見えますが、長期的に見た場合、将来受け取る老齢厚生年金額に反映しますので、決して損ではないと思いました。私の計算では、年金を受け取り始めてから7年以上生存すれば、もとがとれるという計算でした。
夫の扶養から外れ、いかにして自分ひとりで稼ぐか模索し始めた頃でした。社会保険労務士試験の勉強をしていた頃です。
いろいろ画策した結果、無事等級は1ランクアップの9等級(厚生年金保険は6等級)になることができました。10月の給与明細を受け取ったとき、等級表が上がったことを知らせる小さな用紙が入っていて、嬉しかったのを覚えています。給料は上がっていないにも関わらず等級が上がったことにより、私の手取りは若干減りました。でも金額にして1,000円ちょっとです。それくらいならやりくりできるし、そもそも将来に向けての貯金をしている感覚でいましたので、満足でした。
勝手に給料アップされてがっかりした話
一方、こちらが意図せず等級が上がり、がっかりしたこともあります。
当時残業続きでどうしようもなかった別の会社での話です。
毎月残業でどうにもなりませんでした。本当は残業はしたくなかったのですが、コロナで休業日が増え、稼働日が減っていました。一方、仕事の量は減るどころか、むしろイレギュラーで複雑な案件が増えていました。総稼働日が減っているのに、総仕事量は増えているという状態です。稼働日にはめいっぱい残業せざるを得ませんでした。
そんな中、全く私に告知がなく、私の知らない間に、給料が上がっていました。
大した額ではありません。標準報酬等級表の1等級の枠内に収まる程度の、微増です。
普通ならここで喜ぶべきなんでしょうが、私は嫌な予感がしてなりませんでした。かといって、残業を減らせる状況でもなく。
案の定、4か月後、随時算定が発生しました。私の等級は2等級アップし、保険料が高くなり、手取りが減りました。
手取りが減ったときのモチベーションのダウンは忘れられません。
社労士として、随時算定は何度か経験していましたが、自分がやられる側というのは初体験でした。
こんなにもやる気を失うものなんですね!かなりのショックでした。
残業を一生懸命がんばってやっていたのに、なんとか書類の〆切が間に合うように努力を重ねていたのに、先月の給料よりも手取りが減っていることを知ったときのがっかりした気持ちを、一生忘れないでおこうと思います。
そもそも、なんで本人に何の相談もなく給与をアップさせたんでしょう??会社に対する不信感が募りました。
独りよがりな会社だなと思いました。
2つの話の違い
8等級だったときは9等級に上げたくて仕方なかったのに、2X等級を超えていたときには昇給をいやがるのは、私も現金だなと反省しています。
また、随時算定が発生しなくても、次の定時算定のときには保険料がアップするのは避けられないのだから、会社が勝手に昇給したからと言って不満をもつのも、それも社労士としてどうなんだという気がいたします。しかし、後者の会社はその当時すでに辞めるつもりでいましたから、そのタイミングでの昇給…からの手取り減は、「さっさと辞めよう」となおさら思うきっかけになりました。
相談してほしかったのだと思います。随時算定で2等級上がることが分かっているのであれば、2等級上がって保険料負担が増えても手取りが増えるくらいに昇給幅を広くするとか、10月の昇給にどうしてもこだわりたいのであれば、タイミングとして最悪なので1年先に延ばすとか。その分賞与に上乗せするとか。社労士としてアドバイスできることはあったのですが、特に何もお話はなく。思えば労使の会話がない会社でした。残念です。
昇給は慎重に・・・
昇給するタイミングは、慎重にやってもらいたいものです。ただ昇給すれば社員のモチベーションが上がると思ったら大間違いです。社会保険料との兼ね合いで手取りが減って、結果モチベーションが下がることもあります。
顧問社労士がいるのであればぜひ相談してください。私が相談をもらったら、ようく検討してお答えしようと思います。せっかく昇給したのに、労使ともに悲しい結果にならないようにしたいです。
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