健康保険 被保険者資格証明書交付申請書について【発行にかかる手間について】

勤務社労士時代、健康保険の被保険者資格証明書交付申請書のご希望があると、がっくりきていました。手間がかかるからです。

健康保険被保険者資格証明書とは

入社したばかりで健康保険の手続きがまだ終わっていないと、健康保険証が発行されません。しかし、それまでに医者にかかりたいときがあります。医者によっては事情を説明すると「じゃあ、今回は自腹で10割で払って、次回保険証が来たら見せてください。そのときに7割分はお返ししますから」と言って診療を受け付けてくれるところもあります。もっとゆる~~いヽ(´∀`)ノところだと、「今日も3割でいいよ!必ず次回新しい保険証見せてね!」なんてところもあるとか^^;ところがなかなかそんなゆるい医者はいませんし、10割負担するのも大変という場合に、「もっと早く保険証を発行できないの(# ゚Д゚)プンスコ」と要望される新入社員の方もいます。特に、小さいお子さんを抱えたご家庭だと多いです。

そこで被保険者資格証明書の出番です。こちらは、健康保険法施行規則50条の2に規定されている書類でして、

厚生労働大臣は、協会が管掌する健康保険の被保険者に対し、この省令の規定による被保険者証の交付、返付又は再交付が行われるまでの間に当該被保険者を使用する事業主又は当該被保険者から求めがあった場合において、当該被保険者又はその被扶養者が療養を受ける必要があると認めたときに限り、被保険者資格証明書を有効期限を定めて交付するものとする。

健康保険法第50条の2

とありますように、医療機関にかかる必要があるときに交付されるものです。いつ医者にかかるか分からないけど、念のため、安心のため発行してほしいと言われることがあるのですが、それはダメなんです。

リンク↓は、日本年金機構の資格証明書交付申請書の説明ページです。

健康保険被保険者資格取得後、早急に保険医療機関等で診療等を受けようとするとき

発行には手間がかかる

さて、この資格証明書について、お客様(企業)からご希望があると勤務社労士時代、とてもげんなりしていました。なぜなら、2回年金事務所に行かないといけないからです。

まず、被保険者資格取得届を電子申請します。扶養家族がいる場合は、被扶養者届も電子申請します。すべて到達まで行ったことを確認したら、すべての到達番号をメモします。次に、あらかじめ事業主証明をとっておいた被保険者資格証明書交付申請書の余白に、日付と到達番号と申請した書類の種類をメモし、社労士印を押したら、身分証を持って年金事務所へダッシュします。このとき、なるべく午前中に行きます。午後だと証明書の発行が翌日になる可能性があるからです。あ、ちなみに、この交付申請書は紙ベースオンリーです。電子申請はないです。あと、郵送でも受け付けてくれるのですが、タイミングがちょっとずれると交付が不可になることもあるので、私はもっぱら直接年金事務所へ提出していました。

年金事務所では到達番号から資格取得届の処理状況を確認します。この辺の処理が結構時間がかかりまして、私が年金事務所に通っていた当時、最低でも3時間かかりました。それでも、保険証発行が1か月かかる時期に即日交付される証明書は大変ありがたい存在でしたので、3時間後にまた年金事務所に行くことにしていました(いったん事務所に戻って別の事務作業をしていました)。

さて、3時間後にまた身分証をもって年金事務所に行くと、無事被保険者資格証明書が交付されます!

゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚

見た目は交付申請書と同じです。交付申請書の下部が証明書欄になっています。このA4用紙を大事に封入し、速達郵便で企業へお送りするまでが私の仕事でした。

健康保険被保険者資格証明書(交付申請書の下部にある)

被保険者資格証明書交付申請書のお値段

さて、当時の被保険者資格証明書交付申請書の報酬ですが、私の記憶が確かなら、当時勤めていた社労士事務所では無料でした。

被保険者資格取得届で報酬をいただいているので、資格証明書交付申請書はタダと言うことでした。

いや、ちょっと待てと。どう考えても手間暇は普通の被保険者資格取得届の2倍、3倍、4倍かかっているではないか。なのに、無料!?と内心思っていましたが、ボスには逆らえず、「はい!承知しました!!」と張り切って処理していました(社畜でした)。

なお弊事務所では、かかる工数にみあった報酬にするというポリシーがありますので、大変恐縮ですが、この被保険者資格証明書の交付手続きについては、無料とはなっていません。他の社労士事務所に比べても結構高い料金設定としています。これは、やはり手間暇がかかること、年金事務所に2回行かないとダメであるからという理由です。資格取得届を電子申請したのとほぼ同じタイミングで出さないといけないという、コントロール面の問題も理由にあります。