休日をまたぐ深夜労働の勤怠管理【休日と労働日の区別】

Twitterでおもしろい議論があったので、ご紹介します。休日から所定労働日にかけて働いた場合、どう計算するかという問題です。

2022年5月25日修正。よく見たらさとしさんのアカウントは鍵アカウントでした。鍵アカウントのツイートを引用するなんて、失礼でした。申し訳ございません。引用形式を見直しました。

きっかけ

1日の法定休日に日跨ぎ労働が発生し、下表のような所定労働時間と実労働時間になった場合、2枚目の法定内、法定外、休日労働、深夜労働時間になりますか?

さとしさん(@srsatoshi0852)のつぶやき。ときどきこういうおもしろい労働時間について話題を提供してくれます。

ざっくり説明すると、法定休日である日曜日に急に呼び出されて出勤し、日付をまたいで3時に終わって帰ったあと、その日の朝9時には通常通り出勤している方の、労働時間管理はどうなるかというものです。

この問題にはレスがついていまして、なかなかハイレベルな方たちがハイレベルな会話をしていて、「すごいな!」と思いながらツイートを読んでいました。

先のつぶやきについたレス

2枚目の法定内労働時間2時間以外は正しいと思います 月〜土の所定労働時間が38なので、40との差で2時間って出てきたと思うんですが、1日の勤務は21〜24時が法定休日労働、0〜3時は時間外扱いになるので法定内は無いかと

法定内労働時間2時間というのは置いておき、先に法定休日の問題を見ます。

法定休日労働

法定休日というのは、1週間に1回の休日です。4週に4日と言う場合もありますが、ここでは普通の1週間に1回ということでよいです(理由は、図にあるとおり、最初の日が「法休」となっているから)。

法定休日労働は、三六協定でも別枠になっているものでして、1か月に4回までとか、3回までとか、回数(日数)で設定します。

三六協定(時間外労働休日労働に関する協定届)の休日労働の欄。

法定休日労働の割増率は3割5分です。では、事例の場合6時間全部が法定休日扱い(1.35で計算)になるかというと、そうはなりません。

労働基準法第35条の休日は原則として暦日を指し、午前0時から午後12時までをいうものである

平成6年5月31日基発331号

(問)休日とは単に連続24時間の休業であるか、或いは暦日を指し午前零時から午後12時までの休業と解すべきか。

(答)見解後段の通り。

昭和23年4月5日基発535号

・・・というような通達にありますように、法定休日は暦日(午前零時から午後12時まで)を言いますので、例だと21時から24時までの3時間が法定休日労働となります。

では、24時から27時までの3時間は???

法定休日から所定労働日にまたがる2暦日連続した労働時間の取扱い

ここからがなかなかおもしろいところなんですが、すでにWeb上に詳しく説明しているサイトがあったのでそのリンクを貼っておきます。

「法定休日」と「通常労働日」に跨る「2暦日連続勤務」の場合の論点 – 東京税理士会計士事務所

こちら↑のサイトは社労士さんではないようですが、大変詳しく、丁寧に解説してあります。

結論から言うと、24時から27時までの3時間というのは、

『 当該「論点」に対して「(1日単位の)法定時間外労働時間」をどのように把握・計算すべきであるか 』を明確に示唆しているような「法律」や「通達」は(残念ながら)存在しておりません。

上記サイト(https://yokaikei.com/kyuyoyakuinhoushukeisan/nirekijitu_ronten/#id4)

とありますように、明確な判断基準は出されていません。つまり、分からないというのが結論です。私も探しましたが、見つけることができませんでした。

ここでさらに問題を複雑にしているのが、月曜日の8時間の労働です。もともとこの日の所定は6時間でしたが、朝3時に仕事が終わっていったん家に帰り、朝9時に再び出勤、夕方18時に退勤したようです。暦日では11時間労働となります。

私はこの部分を、8時間は法定内労働扱いとし、3時間を時間外労働扱いとしました。最初の早朝3時までの3時間は深夜割増だけの1.25で計算し、朝9時から5時間分までは1.00で計算し、最後の3時間は暦日で法定8時間を超えるので、1.25と計算しました。でないと、労働者にとってかなり負担が大きいと感じたからです。多めに払っておくことで、企業が未払い賃金を請求されるのを防ぐ目的もあります。

◆  設 例 3  ◆

「17:00から25:00まで勤務した場合」で、

「出勤日当日」が「法定休日」で「出勤日の翌日」が「法定休日でない」場合で、

当該勤務時間において、

・17時から22時の間に1時間の休憩を取ったと仮定します。

上記サイト(https://yokaikei.com/kyuyoyakuinhoushukeisan/nirekijitu_ronten/#id3)

先ほどの税理士さんのサイトのⅡ:『「法定休日労働」を含めずに計算する 』考え方における事例3が参考になります。

二暦日に及ぶ労働時間の計算は、とっても奥が深い

こちら↑のサイトの事例⑨も参考になります。

いろいろな計算方法

私が計算した結果はこんな風になりました。

私の計算方法

ところがですね、月曜日に時間外3時間を私は計上しましたが、この日の段階で計上しなくても、週単位で見たときに法定労働時間を超えている分を割増で計算すればよいという考え方で計算しているのが、さとしさんの計算方法です。

こんな感じになります↓

週単位で計算した場合

さらにユニークなのが、法定内労働時間を実働ベースで私は計算することが多いのですが、所定労働時間ベースで計算してもよい訳です。毎日所定労働時間は決まっている訳ですから。その差分を計上する方が、計算が楽だったりしますよね。ということで、こんな風↓にも計算できます。

所定労働時間をベースに計算する方法

ここでようやく法定内労働時間2時間が出てきました。1週間単位で計算したときに、法定労働時間と所定労働時間との差がないか、この段階で確認するわけですね。

実務をよく知っている方が、より簡便に考えていった計算方法という印象でした。すごいなー!と思います。

そしてそれらの計算方法にさらっとついていくレス者のレベルも高くてすごいです。

計算結果

いずれの計算方法でも、時給が1000円なら59050円となりました。

もとのツイ主さんの出した結論

あくまでも私の出した答えなので間違っていたらサーセン💦

基本給: 38時間×1000円=38000円
法定内労働:2時間×1000円=2000円
法定外労働:11時間×1250円=13750円
法定休日労働:3時間×1350円=4050円
深夜労働:5時間×250円=1250円

支給計 59050円