1か月変形の半端な週

この話の続きです。

実は1か月単位の変形労働時間制における、半端な週についてずっと調べていまして、まだ調べています(しつこいですよね。我ながら粘着質だなあとは思うけど、知的好奇心を刺激されると止まりません><)。

過去のコンメンタールを集めれば簡単にわかるかなと思ったのですが、逆に謎は深まりました。

関係コンメンタール一覧

1か月単位の変形労働時間制が始まったのは昭和63年の法改正からです。

ということは、そのころのコンメンタールから集めればよいということになります。

私が調べた限りで、昭和63年から現在にいたるまでのコンメンタールは下記のとおりです。

連番和暦版数名印刷発行西暦備考
1昭和63年9月10日全訂版印刷発行1988国会図書館から複写入手。
2平成元年3月20日全訂版再販発行1989
3平成2年4月10日全訂版三版発行1990
4平成3年4月25日全訂改版印刷発行1991国会図書館から複写入手。
5平成6年7月1日全訂新版印刷発行1994所持(中古で買った)。
6平成8年5月10日全訂新版2刷印刷発行1996
7平成9年3月10日全訂新版3刷印刷発行1997国会図書館から複写入手。
8平成12年3月1日改訂新版印刷発行2000国会図書館から複写入手。
9平成15年3月7日増補版印刷発行2003国会図書館から複写入手。
10平成17年3月3日改訂新版印刷発行2005高崎市立図書館に蔵書あり。
11平成23年2月1日平成22年版印刷発行2011国会図書館から複写入手。
12令和4年1月20日令和3年版印刷発行2022
13令和4年2月17日令和3年版2刷印刷発行2022所持。
労働基準法(コンメンタール)1か月単位変形労働時間制関連。連番は筆者が勝手に付番した。赤太字は筆者。

今のところ、私が入手できたのが、2,3,6,12以外です。2、3、6は、検索してもヒットせず、どこかの古本屋にはあるのかもしれませんが、入手は絶望的です。12はあえて入手していません(多分新しい事実は見つけられないと思うので)。

おもしろいことに気が付きました。今のところ、連番7のテキストだけが、図において半端な週を計算しています。

端日数を計算。
端日数を計算している解説。

それ以外の版では、すべて「週40時間」です。

1週間40時間としている解説。

まだ入手できていない連番6(平成8年5月10日の版)が入手できれば、さらになにかもっとおもしろい発見があるのかもしれません。

端日数の計算を支持している人

半端な週における端日数の計算を支持しているのは、上記平成9年のコンメンタールのほか、全国社会保険労務士連合会と社会保険労務士岩崎仁弥さん社会保険労務士森紀男さんです。

労働基準法の実務相談令和3年度 全国社会保険労務士連合会
端日数の計算について解説しているページ。上記労働基準法の実務相談令和3年度 全国社会保険労務士連合会の98ページ
労働時間管理完全実務ハンドブック 特定社会保険労務士岩崎仁弥・特定社会保険労務士森紀男
端日数の計算について解説しているページ。労働時間管理完全実務ハンドブックの231ページ

全国社会保険労務士連合会の本と、特定社会保険労務士さんの本とは、いずれもコンメンタールを根拠としています。結局コンメンタールに行き着く訳です。

もちろん私も端日数の計算を支持している人たちのひとりです。

存在が秘匿されていた?平成9年の本

平成9年のコンメンタールは本当にたまたま入手しました。

本当は平成6年のものだと思って国会図書館に複写依頼したのです。

ところが届いたのは、平成9年のものでした。

複写依頼したときの記録。ここにある通り、1994.7(平成6年7月)のものだと思って依頼した。

この辺、よく分かりません。国会図書館には、1994.7となっているところは、1997.3の誤りではないか?と調査をお願いしました。

平成9年3月のコンメンタールは「全訂新版3刷」と呼ぶようですが、この版だけが異色です。なぜなら、私はこの複写が届くまで、平成9年の版が存在することを知りませんでしたから。平成8年の版もこの複写が来て初めて奥付で知ったのです。

で、結論は?

それで、だらだら書いてきましたが、結論はどうなんだというと、まだ分かりません。すみません。

ただ、端日数の計算をしている版がかなり特殊だったということだけは分かりました。この版だけは世に出たあと、次の平成12年版が出るまでのたった3年で埋もれてしまいました。

次の平成12年の版からはもう無味乾燥な「週40時間」という解説に戻っていますからね。

この部分を書いたのは、当時の労働省労働基準局賃金時間管理課と呼ばれる部署だったと思うのですが、今度は名簿でも入手しましょうかね?書いた人たちに直接聞くのが一番手っ取り早い気がしてきました。ただ名簿はアングラで入手は困難です。違法性も高くなってくるので、手は出したくありません。

そうすると、正攻法でいくなら、労働省に質問状でしょうかね。現在は厚生労働省ですか。国民の窓口だと、ご意見を聞いてもらえるだけで返事はもらえません。それでも、次のコンメンタールから何かしらの動きがあることを期待して、意見提供だけでもしておきましょうか。

ちょっと、いろいろ考えてみます。