【街角の年金相談センター】年金相談実務者(初心者)研修について【社会保険労務士向け】

年金相談実務者(初心者)研修を受けてまいりました。将来私のように受講する方向けに、研修の内容や雰囲気などをご紹介します。コロナ禍での受講ですから、将来皆様が受講するときとは異なる部分があると思います。あくまで私が2022年8月に受けたときはこうだったと思ってください。

WMデモシステムの画面。

本部研修はもともとは5日間だった

本部(東京)での研修はもともとは5日間だったそうです。

コロナ禍の中、最初の2日間はリモート研修にしたそうです。残りの3日間はウィンドウマシーン(WM)を使った研修なので、どうしても対面で実施する必要があり、3日間だけ東京に集める形式にしたのだとか。

本部研修1日目・・・システムの使い方を習う

本部研修1日目はWMとWebシステムの使い方を習いました。

WM・・・通称黒い画面

WMは背景が黒いので黒い画面と呼ばれていました。

キーボードのPause/Breakキーを「届書ボタン」と言ったり、ESCキーを「終了ボタン」と言ったり、とても独特の操作性でした。慣れればなんてことはないのですが、画面も昔懐かしDOS画面です。背景が黒くて文字が白いタイプでして、慣れるまで少し時間がかかります。

Tabキーでのキー移動が主かと思いきや、ところどころマウス操作が入ってみたり、ユーザインターフェースが一貫していない点にも使いづらさを感じました。

最初のときだけ「届書ボタン」で、画面の中に入っていったあとはEnterキーで確定していくのですが、この辺の癖のある操作性に、皆さん苦戦していました(もちろん私も)。

この癖のある操作を覚えないと、研修のロールプレイングでも実技試験でもとまどうことになるので、WMの操作にいかに早く慣れるかがコツだと思いました。

新しいシステムWebシステム・・・白画面

一方、今年の4月から導入されたというWebシステムで年金額試算のやり方も習いました。

こちらは白い画面で文字が黒いので、通称「白画面」と呼ばれていました。

WMの黒い画面とWebシステムの白画面とを交互に見ながら、試算をするのです。

Webシステムも癖の強いシステムでして、あまり使い勝手が良いとは感じませんでした(むしろWMより使い勝手が悪いと感じました)。

しかし、簡単に試算ができてしまうのには感動しました。あの複雑な標準報酬の計算も一瞬です。さすがシステム!

今回研修では試すことができませんでしたが、実技試験のときに「振替加算のある方が65歳からもらった場合と、繰り下げてもらった場合とで、何年後にトータルのもらった金額が交差する(逆転する)かも試算できるのですか?」と質問したら、「できます」というお答えでした。残念ながら時間が足りなくて試すことはできませんでしたが、このWebシステム(通称白画面)、かなりデキルやつだと思いました。

名刺交換

大事なことを言い忘れました。

初日、朝は名刺交換がありました。

参加者だけでなく、講師となる社会保険労務士の先生にもご挨拶用の名刺を持って行くのを忘れないでください。先生は3名でした。参加者は8名。自分の分を除いて10枚あれば足りる計算です。私はギリギリ10枚だけ持って行き、冷や汗かきました。足りてよかった~(;´Д`)

本部研修2日目・・・ロールプレイング

本部研修2日目は、Webシステムでさらにもう少し複雑な試算をしたあと、実際にお客さんが年金相談に来た態(てい)でロールプレイングをしました。

ロールプレイングはグループに分かれて実施しました。私のグループは3人でやりました(2人だけのグループもありました)。

私は最初に相談員役をやりました。

お客さん(研修受講者が演じている)を前にマシンを操作しながら、書類をチェックしながらだと慌てました。冷静ではいられませんでした。頭の中が混乱し、間違った操作をしてしまいました。そうするとますます焦ってしまいます。

これは・・・・修業が必要ですね。慣れも必要だと思います。

次に傍観者役となったり、今度は自分がお客さん役となったり、3人で役目を交代しながら練習しました。

最後に講師から課題が出され、グループの3人で協力して書類の不備と添付書類の不備を探す練習をしました。ちょっとした試算も実施し、内容の濃い2日目を終えました。

本部研修3日目・・・試験

本部研修3日目は試験です。筆記試験と実技試験があります。

この試験でたとえ点数が悪くても、修了証はもらえるそうです。ただし、県会に点数の報告をするので、街角の年金相談センターでOJTを受けたい人は、あまりに点数が悪いと県会での印象が悪くなり、不利になるかもしれないというお話でした。

筆記試験

筆記試験は、穴埋め問題が10問、選択問題が10問出ると、前日にあらかじめ講師から説明がありました。

ふたを開けてみたら、穴埋め問題は穴埋め記述問題でした。それも正確な記述が求められるタイプで、私は10問中9問間違えましたorz

10問と言うのも大変語弊がある表現でして、1問あたり埋める穴は3つから5つあります。つまり、合計で40か所近く穴埋めすることになりました。(;´꒳`;):

配点は1問の穴全部を正解してはじめて5点もらえるという仕組みでした。だから1つでも穴を誤るとその問題はゼロ点になってしまいます。き・・・厳しい!(´;∀;`)

選択問題は実務寄りのかなりハイレベルな問題が出ました。本部研修の5日間から出された問題もありますが、本部研修前に実施したe-ラーニングで学んだ内容もあったような気がします。

e-ラーニングをやったのはずいぶん前なので、私はかなり忘れておりました。本部研修の際、おさらいしておくとよいかもしれません。

本部研修では、遺族と障害の占める割合はわずかです。リモート研修での半日くらいしかなかったかと。

しかし、試験ではしっかり出ました。私は気を抜いて失敗しました><

講師の説明では、得点は気にしていない、自分の弱点を見つけてもらうのがねらいということでした。そうは言っても、あまりに低い点数だと県会にばつが悪いです。私は、自己採点で100点満点中40点でした。社労士試験なら不合格です。orz

テスト後、答案用紙のコピーをとったらすぐに本人に返却されました。そして、講師と一緒に答え合わせの時間がありました。そこで初めて私は、自分がいかに分かった気になっていたかが分かりました。

どんなに得点が低くても修了証がもらえるということでしたが、さすがに国民年金保険料の金額と標準報酬月額等級表の最低額と最高額を間違えたのは社労士として恥ずかしかったです。

結構数字問題が多く、「数字問題が出ても選択肢の中から選べばいいよね」と勝手に思い込んでいた私は、数字問題で全滅しました。

社労士試験の選択問題のように、選択して選ぶ穴埋め問題が出ると思い込んでいました。しかし違いました。穴埋めは全部自力です。昔々の社労士試験のような感じでした(確か平成11年くらいまでは社労士試験も記述式でした)。

実技試験

講師がお客さんとなって訪問してきた態で、一人30分の持ち時間で実技試験があります。

挨拶の仕方、本人確認の仕方、書類のチェック、添付書類のチェック、年金記録の確認、配偶者の確認、配偶者の年金記録の確認、年金額の見積もり等々、チェック項目は多岐にわたります。

「挨拶はまかせろ!セ○ンイレ○ンでつちかったテクニックがあるぜ!」と、勇んで臨みました。おかげで挨拶だけはうまくできたと思います。「いらっしゃいませっ!!!!」→敬礼(45度)。

問題はそのあとです。

研修中のロールプレイングでもうまくできなかったように、やはり緊張してしまって冷静ではいられませんでした。

私は書類のチェックで見落としがあったようです。自分では全部見たつもりになっていましたが、口座の名義人に誤りがあったようです。気が付きませんでした。

30分はあっという間でした。この30分、かなり短くて、焦りました。

実技試験では筆記用具の持参が禁止されています(マシン室に筆記用具自体持ち込めないのです)。付箋も使えないので、研修で習った通りに順番にチェックしていかないと、何かしらもれてしまうなと思いました(実際もらしました)。

研修で習ったチェック順については、チェック順を網羅した用紙の持ち込み(黄色と青のカラフルな用紙)はOKでした。この用紙を見ながら、丁寧に着実に進めていけばよかったと反省しています。

以上、試験の感想でした。

毎回工夫して変えていっている

なお、講師のお話では、常に試験の内容や研修の進め方は工夫して変えていっているそうです。

答え合わせをすぐするのも、以前丸つけをして返していたら、得点ばかり気にされてしまったことがあったからだそうです。そうじゃない、内容なんだ、自分の弱点を見つけてもらいたいんだ!ということで今の形式になったとか。

そんな風に日々研修の内容も変えていっているようですので、あくまで私が受けた研修はこうだったというだけの話としてお読み下さい。多分皆様が受けるときにはまた変わっているでしょう。どうか、よい点を取ることだけを目的にしないでください。

研修を受けてみていいな!と思ったのが、本質的な内容の研修だったということです。

実力をつけなければ意味がない、自分が相談窓口で失敗したから研修生には同じ轍を踏んでもらいたくないといった、講師の気持ちがひしひしと伝わってくる内容でした。

社労士は日々勉強の資格だと思っているのですが、街角の年金相談センターはまさにその最たるものだと思います。もし本気で街角の年金相談センターで働こうと思っているなら、研修会場で間違えることは恥ずかしくないので(むしろ自分の財産となるので)、ぜひどんどん間違えて、自分の弱点を見つけていってほしいと思います。

個人情報保護はかなりセンシティブ

リモート研修、本部での対面研修、それから対面研修の際、トップの方からのお話、最後にまた別のトップの方からのお話と、何度も何度も繰り返されたのが、個人情報保護の話でした。

個人情報保護については3つあり、守秘義務、漏洩の防止、業務外閲覧の禁止です。

研修でこれだけ再三注意喚起しているにもかかわらず、毎年違反者が数名出るとのことでした。

特に業務外閲覧については、本人の記録であっても業務外であったらだめだということを何度も言われました。漏洩ではないが、業務外であるという点で不可なのだそうです。

たとえ自分のWM操作の研鑽のためであっても、業務外ならダメだとのこと。アクセスログを採っているし、チェックリストに上がってくるのですぐばれるとも説明がありました。

なんとも厳しい取扱いだと思いました。WMというのは操作に慣れるのが大変です。自分の年金記録で練習したくなる気持ちは、個人的にはよく分かります。

しかし、業務外での閲覧になるので誓約書違反になるそうです。また、各種の法令違反にもなるとも。

社会保険庁時代、それから日本年金機構になってからも、個人情報保護に関する事件はたびたび新聞沙汰になっていましたので、相当気を遣っているなと思いました。

年金業務・組織再生会議第1回 平成19年8月23日(木)配布資料3 社会保険庁改革等の経緯より。今回の研修を受けて、確か社会保険庁がなくなったとき、業務外閲覧とかが問題になっていたなーーと思い出して、探し出してきました。一番最初に業務外閲覧があります。業務外閲覧が社会保険庁というお役所の一つをなくすほどの大問題だったことが分かります。

余談

ここからは余談です。興味のある方だけ読んでください。

社労士会館は迷いやすい

街角の年金相談センター運営本部は東京日本橋の社労士会館の中にあります。

この社労士会館が分かりにくいところにあります。初めて行く方は迷うそうです。前回(7月)実施のときは、20分くらい迷った方がいたとか。

私は新日本橋駅から降りて行くルートで行きましたが、道には迷いませんでした。しかし、東京駅で盛大に迷いました。

東京駅で30分ほどあちこち歩き回り、その後新日本橋駅から社労士会館まで徒歩5分のところ、迷わないよう一つ一つ確認しながら歩いて行くのに15分かかり、移動時間も含めると合計50分かかりました。

東京に慣れていない方は、早めに出発することをおすすめします。

毎年テストがある

街角の年金相談センターでは、今回私たちが受けたような筆記試験を毎年実施しているそうです。

毎年のように法改正があるので、知識をアップデートするために実施しているのだとか。

また、毎月研修があるそうです。

とにかく日々研鑽なのだなと思いました。

研修の雰囲気

私が受けたときは私と同年代か、私より少し若い方が多かったと思います。私より10以上若い方もいたような・・・。多分私が最長老だったと思うのですが、実のところの皆さんの年齢は、分かりません。女性は特に、見た目では年齢が分かりませんね・・・皆さん若いですね!

みなさん遠方から来ているので、ホテル組が多かったです。私は高崎から毎日新幹線で通いました。

昼休みなどは雑談で盛り上がることもあり、楽しい雰囲気でした(社労士の研修はどれも私は楽しいです^^)。

講師の先生方も社労士ですが、年金分野でのご経験が長く、ものすごい知識量です。私がぼや~~っとした知識でいることでも、ビシッとこうだ!と説明してくださるので、すごいな!と思いました。

コロナさえなければみんなで飲みに行くのになーと誰かが言っていました。激しく同意です。

2022年8月時点ではコロナ第7波が猛威を振るっており、重症化患者数は少ないようですが、医療機関のひっ迫度合いがひどいことになっています。東京に行って驚いたのが、毎日救急車の音がすることでした。群馬でも救急車は走っていますが、これほど頻度は多くありません。リモート研修中も、講師の画面の音声の中で、何度か救急車の音が聞こえてきました。

そんな中、研修の同期と飲みに行くという雰囲気にはなれませんでした。それだけが残念です。みんな、お話してみるとご経験がいろいろあり、得意な分野がそれぞれ違っておもしろく、もっと話したいのになと思いました。

以上、みなさまの何かの参考になれば幸いです。