特例任意加入はどれくらい減ったか【国民年金】
年金の受給資格期間が25年から10年になったことで、国民年金の特例任意加入被保険者数がどれくらい減ったか、調べてみました。
特例任意加入被保険者とは
国民年金の被保険者は国内に居住する20歳から60歳までです。
60歳以降も、65歳までなら任意加入することができる場合があります。年金保険料に未納があり、将来の年金額が少ないので、少しでも増やしたいときなどに利用されます。
年金の受給資格期間を確保できない場合も、任意で加入することができます。
ところが、この65歳までの任意加入をしてもなお、年金の受給資格期間を確保できない場合があります。
そこで用意されているのが、特例任意加入です。
老齢基礎年金の資格要件(原則10年以上)を満たしていない昭和40年4月1日以前に生まれた人は、特例的に65歳から70歳になるまで任意加入することができます。
昭和40年4月1日以前の生まれでなければならないこと、納付書での納付はだめで口振にしないといけないし、付加保険料は申出できないし、いろいろ普通の任意加入とは違って制約があります。
窓口での過去の経験
以前、この特例任意加入の手続きを窓口で承ったとき、なかなか深刻でした。
ふつうなら65歳で年金がもらえるのですが、特例任意加入の場合は65歳以降も払い続けないといけないのです。
保険料は決して安くありません。現在は1月16,590円です。
制度を説明するのが辛かったです。障害基礎年金も絶望的です(初診日要件はOKですが、直近1年特例が使えないので、3分の2要件で納付要件をみないといけないのです)。
加入自体も、手続きは非常に大変でした。カラ期間が本当にないか、調べないといけないのですが、年配の方に昔を思い出していただくのはとても時間がかかりました。
当時は25年間分ないか探す必要がありました。今は10年間分でよいはずです。ということは、特例任意加入被保険者自体が減ったはず。どれくらい減ったのか疑問に思ったので、調べてみることにしました。
調べてみた
厚生労働省の統計資料から、毎年度末現在の65歳以上の任意加入被保険者数を拾ってきました。
いつ現在か | 国民年金特例高齢任意被保険者(65歳以上) |
平成21年3月 | 14,586 |
平成22年3月 | 14,193 |
平成23年3月 | 12,805 |
平成24年3月 | 13,110 |
平成25年3月 | 12,361 |
平成26年3月 | 11,687 |
平成27年3月 | 10,843 |
平成28年3月 | 10,448 |
平成29年3月 | 9,396 |
平成30年3月 | 2,562 |
平成31年3月 | 2,917 |
令和2年3月 | 2,309 |
令和3年3月 | 1,907 |
表だと分かりづらいと思うので、グラフにしました。
見事に減っていました。
受給資格期間が10年に短縮されたのが2017年(平成29年)8月ですから、その後ガクンと減っているのが見て取れます。
厚生年金保険の高齢任意加入被保険者数の変遷
厚生年金保険にも高齢任意加入制度があります。
70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き
こちらは、さらに年齢が上がって70歳以上です。こちらの数の変遷も調べてみました。
いつ現在か | 厚生年金保険高齢任意加入被保険者(70歳以上) |
平成21年3月 | 744 |
平成22年3月 | 826 |
平成23年3月 | 881 |
平成24年3月 | 884 |
平成25年3月 | 676 |
平成26年3月 | 592 |
平成27年3月 | 509 |
平成28年3月 | 441 |
平成29年3月 | 435 |
平成30年3月 | 342 |
平成31年3月 | 460 |
令和2年3月 | 512 |
令和3年3月 | 538 |
グラフにしたのが、こちら。
こちらは平成29年を境に劇的な数値の変化は見受けられませんでした。
もともと総数が少ないせいでしょうか。
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