監督指導による賃金不払残業の是正結果
- [記事公開]2022.09.01
- 労務相談
毎年恒例、監督指導による賃金不払残業の是正結果が2022年8月30日に発表されました。
毎年恒例の公表
この監督指導による賃金不払残業の是正結果は毎年8月頃に公表されておりまして、過年度分をご覧になりたい方はこちらです。↓
社労士になる前から毎年拝見しているので、少々食傷気味です。
いまだにこんなに賃金不払があるのか・・・と言葉を失います。
監督指導のきっかけ
このような賃金不払い残業を労基署が監督指導するきっかけは、通報によるものが多いです。
事例集も公表されていまして、今回4つの事例が紹介されていました。
最初の1つは違いましたが、残りの3つは判で押したように”「・・・」との情報を基に、労基署が監督指導を実施。”と書いてありまして、「ああこりゃ労働者か退職者からの通報があったんだな」と思いました。
このブログを読む使用者側の方がもしご存じないなら気の毒なのでここに書いておきますが、通報は匿名でできます。
Webで簡単にできます。
ここにリンクも貼っておきます。
以前、お役所の方に聞いた話では、「メールが無視されることはない。必ず何らかの対応をしている。ただし、マンパワーに限りがあるので即時性はない」とのことでした。
こういうお役所へのメールフォームには、専門に処理する係の人がいるのだそうです。内容を読んで関係の部署に割り振るのだとか。人間の手作業でやっていることなので、対応は早くはないようですが、必ず対応はしてくれるそうです。
このブログを読んでいる労働者の方で、今現在職場で何らかの違法な状態にさらされているのであれば、ご利用なさってみてはいかがでしょうか。氏名欄は必須になっていませんから、書かなくても大丈夫ですよ。
労使ともに知らない場合
そうは言っても、労働者が知らない場合があります。
違法な状態だと使用者だけでなく、労働者も知らないという状態です。
お互いに間違った認識で長年やってきていて、「これで今までやってきて、特に問題なかったから、大丈夫」と思い込んでいる場合です。
こういう場合は、通報も何も、労働者が間違った状態で労働させられても気が付かないので通報できないです。使用者も、悪気はなくても間違った状態で労働者を使って、知らないうちに法を犯している状態です。
しかし、お互いに知らないので、とても平和です。牧歌的ですらあります。
そこへですね、部外者である社労士がたまたま知って、「これはこう!これは違法!」などと申し上げるのは、なんとも無粋な気がしてしまうのですが、知ってしまったら立場上申し上げない訳にはいきません。
その際、くれぐれもお願いしたいのは、社労士を責めないでほしいということです。
社会保険労務士の責務
社会保険労務士の目的は、「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」(社会保険労務士法第1条)なので、どこがどう違法かを指摘し、どうすればよくなるかを提案することはできますが、社労士が指摘したからと言って、即違法が確定する訳ではないのです。
社労士が指摘したら、チャンス!と思ってもらいたいのです。
なぜなら、これが労基署だったら、あのめんどくさい是正報告書を作成しないといけません。社労士に対してはそのような報告をする義務はありません。社労士の指摘は、気軽に聞いて、フットワーク軽く対応してもらえたら・・・と思います。
なぜこんなことを書くかというと、訪問先で怒られることがあるからです。「おれんところはこれで何十年もやってきたんだ!なんだ!?文句あるのか!?」と。
文句はありません。しかし、この違法状態を放置しておきますと、いずれ問題になりますよと申し上げるのですが、残念ながらなかなか理解はされません。
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