ホワイトになりたいけどなり方がわからないという経営者がいるならば
この前あるセミナーを受けました。介護業界で働く方と保育業界で働く方2名が講師でした。セミナー自体はなかなか有意義で、大変勉強になったのですが、一番心に残ったのが介護業界の「ホワイトになりたいけどなり方が分からない」「誰もホワイトになる方法を教えてくれなかった」という経営サイドの言葉でした。
なかなかブラックな介護業界
講師の方が介護業界の労務管理にいろいろ問題があることを教えてくれました。
曰く、
- 経営者は介護保険法についてはとにかく勉強するけど、労基法や労働安全衛生法についてはほとんど知らない。
- 休憩時間がない。
- 長時間労働が常態化。
- 36協定違反。
- 年休付与ができていない。
とのこと。ほかにもあったような気がしますが、メモし損ねました。
しかし、決して最初からブラック化を意図している訳ではなく、ホワイトになりたいけど、ホワイトがどういう状態かが分からない、結果的にブラックな現場となっているということもあるそうです。
これを聞いて、私にも思い出すことがありました。
同じくブラックなコンビニ業界
コンビニでアルバイトしているのですが、こちらもなかなかにブラックな面がありまして、
- 36協定の周知ができていない
- 有給休暇付与ができていない
- 深夜時間帯のワンオペ労働
- 労働時間の管理(サービス労働/サービス残業)
- 休憩時間の確保が難しいときがある
などなど、枚挙にいとまがありません。
本部がちゃんと教育しているのでは?と思うかもしれませんが、本部は経営のノウハウは教えても、労務管理の細かいことまでは行き届かない様子。
たまに社労士さんのホットラインサービスが設けられているようですが、期間限定のようですし、多忙なオーナーがその期間に利用できているかどうか分かりません。
経営者は必ずしもブラック化を望んでいない
ここからは私の推測になってしまうのですが、店に貼ってある掲示物やオーナーの態度、就業規則、シフト表のやりくりの仕方、欠員が出たときの穴埋めの仕方を見て思ったのは、経営者は必ずしもブラック化したい訳ではないということです。
どうか人が定着してほしい、この新人さんの教育が終わったら軌道にのってほしいという願いがひしひしと伝わってきますし、お店をよくしていこうという気概も感じます。
しかし、実際には限りなくブラック化しています。それはなぜなのか?
正しい状態を知らないからホワイト化できない
これは今のところの私の仮説ですが、正しいインプットがない(少ない)ので、むしろ間違ったインプットを経て、結果的にブラック化していることもあるなと思います。
例えば、15分刻みの労働時間管理。
これは違法です。1分刻みで労働時間を管理するのが正解です。しかし、労基署は臨検の際15分管理にしていても、あまり強くダメ出ししません。労使が納得してやっているなら・・・とか、朝の5分前とか10分前とかは常識だよね・・・・とか、さまざまなエクスキュースがあるようです。
ダメ出ししない労基署もあるということであって、すべての労基署がそうではないと思いますが、確かに私の知る限りでも、その部分に切り込んでいく労働基準監督官はいなかったです(労基署が能動的にダメ出ししないというだけであって、労働者からの通報があった場合は別問題)。
労働時間を1分刻みでなく15分刻みで管理していると、法廷闘争になった場合、ボロ負けします。しかし、目先(労基署)がダメ出ししないなら別にいいや!と思ってしまう経営者がいるようです。
そして、経営者は経営者同士の横のつながりで、情報を共有しています。これで間違った情報が拡散していくようです。
あの会社に労基署が入ったけど、指摘はなかったよ!→じゃあ、うちもこれくらいなら平気だね。→そうだね!・・・・というように。
あるいは、経験則も物を言っているようです。これまで一度もこのことで問題にならなかった、ならばこれからも問題にはならないだろうというような、ネガティブな経験則です。
正しいインプットをするには
ホワイトになりたいけどなれない経営者にとっての正しいインプットを考えたときに、社労士としてできることはやはり正しい情報提供だと思います。
そのために私はこうしてブログを書いていますし、今後も情報発信を続けていこうと思います。
「誰もホワイトになる方法を教えてくれなかった」と言うのであれば、私がその方法をお伝えできたらよいなと思います。
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