荒木尚志「労働法第5版」

ずっとほしかった荒木先生の労働法を入手しました。

荒木尚志労働法第5版2022年12月25日発行

第5版が出るタイミングで購入しました。

さっそく気になっていた例の平成22年12月20日最高裁判決(労基法第32条の1項と2項は併合罪)に関する荒木先生の言及を調べました。

第4版と変わっていませんでした( ・ω・)

私の疑問は、地道に論文をあさって調べるしかないようです。

私の疑問というのは、以前記事(32条1項違反と2項違反とが同時に成立する場合の割増賃金)にしました。

あれからずっと調べているのですが、いまだに結論が出ません。

労働時間はまず日単位で確定させる→それから週単位で確定させるという風に私は習いました。

その根拠は、労働基準法第32条の2項(1日8時間)は1項(週40時間)の特別法だからという解釈だからと本に書いてありました。

ところが、この最高裁判決でその解釈がくつがえされてしまったように思うのです。

1項と2項とが特別法の関係になく、併合罪の関係にあるなら、日→週の順番で計算しなくても、週→日の順番で計算してもよいですよね?実際、そういう風に計算している学説もありますし。

もうしばらく調べてみます。

20230208追記

ある大学の労働法の先生(わりと日本では有名な方) に「日単位→週単位の法的根拠はなんでしょう?2項は1項の特別法だって東大の古い本に書いてありましたが、H22.12.20最高裁の”1項と2項は併合罪の関係”という判断によって否定されましたよね?」と質問してみたところ、「時間外労働の賃金計算は37条の問題」というご意見でした。37条では日単位の時間外ないし週単位の時間外に相当する部分の0.25以上支払っていれば法違反にならないので、日単位→週単位の順番でも、週→日の順でも、どちらでもよいのではないかというご意見です。

それはそうなんですけどね。聞きたかったのは、さらに一歩進んで、日と週の割増を重複して払うことも可能と言う風にも解釈できるのだけど、最高裁判決からそこまで導出できるのか(導出してよいのか)っていうことだったのですけど、時間の制約でそれ以上詳しくは聞けずです。