法改正多すぎ年金

年金実務者研修を受けて、あまりにも法改正が多く、頭が混乱してきました。昔国民年金の窓口係だったときには正しかったはずの知識が、すっかり使えないものになっていてショックでした。せめてブログのネタとして書いて、”昔は正しかったけど今は無駄な知識”を供養したいと思います。

年単位だった繰上率

私が国民年金窓口係だった平成10年から平成14年3月31日までの話として聞いてほしいのですが、窓口に老齢基礎年金の繰り上げ請求の相談に市民の方が来訪したら、とにかく請求は、年齢到達日の存在する月の末日までに来てくださいというのを、口を酸っぱくして言ったものでした。

例えば、誕生日が4月15日の方の場合、4月14日から4月30日までの、開庁日に来てくださいとお願いしていました。

でないと、減額率は一緒なのに、もらえる年金が1ヶ月少なくなってしまうからです。

当時の法律では、減額率は月単位ではなく、年単位で決まっていました。

という訳で、どういう場合にトラブルになるかというと、お誕生日が1日生まれの方で、末日がたまたま閉庁日の場合です。

翌月になってから(つまりお誕生月になってから)来訪され、繰上請求書を提出しますと、請求月の翌月分からの支給となります。と言うことは、同じ減額率でもらえる月が1か月分少ないということになります。

誕生日が1日なのに年齢到達日は前月末日ですから、閉庁日でさえなければ前月末日に請求することが可能だったのです。そうしていれば、請求月の翌月分から支給になっていたはずであり、1か月多くもらえたはずなんです。

そのことを知ると、市民の方はやはり大変不満そうでした。「閉庁日だったのは私は悪くないよね?そちらの都合でしょ!?なんとかならないの?」と言われても、いかんともできませんでした。

今は月単位になりましたので、そういった不満がなくなり、よい制度になったなと思います。

繰上げ・繰下げ制度の変遷

これを見ると、平成12年の法改正(平成14年実施)によるようです。私が窓口係を去った(平成14年3月に別の部署に異動した)後の改正でした。

資格期間300月

昔、老齢基礎年金の受給資格期間は25年(300月)必要でした。

昔使っていた方眼用紙。このマス目を300個以上埋めないと年金資格がないということなので、カラ期間探しに必死でした。

上の図のような方眼紙が窓口に常備されていて、年金受給資格がシビアそうな方が相談に来ると、頭を整理するために使っていました。お話をヒアリングして、カラ期間となりそうなマス目を埋めていき、全部で300個以上埋まればOK、だめなら任意加入してもらって年金受給資格期間になるまで保険料を掛けてもらっていました。

ところが今は120月(10年)でよいのですね(平成29年8月から)。

ありがたい制度改正だと思います。300月はだめでも、120月ならなんとかなる方は多いと思います。

年金が全くもらえないのと、少しでも年金がもらえるのでは、全然老後の生活設計が違いますから!

昔なかった制度

昔(平成10年度〜平成13年度)にはなくて、今はある制度について、つらつらと書いてみます。

半額免除、4分の1免除、4分の3免除

これはとてもいい制度だと思います。国民年金保険料は高すぎます。収入によって負担する金額を調整することは大切です。

離婚分割、3号分割

これもとても良い制度だと思います。こんな制度がもっと前にほしかったです。

私の母はDV被害者でしたが、当時そんな言葉はなく、夜逃げして泥沼の離婚調停を3年間やりましたが、調停で勝ち取ったはずのお金(子どもが成人するまで仕送りする)も結局別れた夫(私の父)からは途中で止まり、泣き寝入りでした。

せめてこの3号分割制度があれば、どんなに生活が苦しくても、応報感がある分ましだったと思います。

年4分の複利現価法

前納する場合の割引率の話です。以前は年5分5厘だったのです。今は4分だそうです。割引率が減りました。この辺は残念な改正です。

押印不要!

今は押印不要な書類が多いですね。以前はなんでもかんでも押印でした。口座登録のときだけ押印が必要ですが、基本的には押印がいらなくなったので、とてもよいと思います。

昔、押印をもらい忘れると悲惨で、「また窓口にきていただけないでしょうか・・・?」と電話するのですが、中には「え!お前らが悪いんだろ!?なんで俺がまた行かないといけないんだ!?」と怒る市民もいて、泣きそうでした(実際泣いた)。

年金定期便

昔年金定期便なんてなかったです。定期的にこれが来ますので、「年金の保険料をこんなに払ったのか!」とか「こんなに払っているのに将来の年金額ってこんなものか・・・」とか、毎度感心しています。

社会保険庁が批判され、解体された頃にこの制度ができたと記憶しております。大変よい制度だと思います。

街角の年金相談センター

そもそも私が今受けている年金相談実務者研修は、街角の年金相談センターで働くための研修なのですが、この街角の年金相談センター自体が以前はありませんでした。

できたのは、あの社会保険庁が解体され、日本年金機構となったのとほぼ同じ時(平成22年)だそうです。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0519-5d.pdf

実はまだ一度も街角の年金相談センターに行ったことがないのですが(建物の外から眺めたことならある)、あちこちのブログを読んだ限りでは好評価のところのようです。

この相談センターも、すごくよいものができたなと思います。

研修で知ったのですが、街角の年金相談センターでは国民年金も厚生年金も関係なく受け付けることができるんですね!

以前私が国民年金の窓口係だったときは、国民年金だけの期間をもつ方は年金事務所(当時は社会保険事務所)では受け付けできないで、市役所の窓口で受け付けでした。

逆に、厚生年金期間が一月でもある方の場合はどんなに国民年金の期間が長くても、受け付けは社会保険事務所に行ってくださいとお願いするしかありませんでした。

そういう風に住みわけができていたのですが(多分今もある?)、街角の年金相談センターでは国年のみの自営業者であっても、厚年持ちの自営業であっても等しく受付できるとのことで、大変よい制度だと思いました。