外国人技能実習生の宿舎に必要な鍵付き金庫
令和4年4月1日付で改正された外国人技能実習生運用要領を読むと、ようやく宿舎に必要な鍵付き収納についての記載がありました。
個人別の私有物収納設備(身の回りの品を収納できる一定の容量があって、施錠可能で持出不可なものであることが必要(個人別に施錠可能な部屋がある場合を除く。)
【通し番号】48 【改正箇所】参考様式第1-16 (PDF67P目/全70P)
読んだとき「やっとか」と思いました。こちらの規定は、2019年にはすでに明文化されていないけど厳然と指導項目として存在していたものです。
当時の担当者があちこちの外国人技能実習機構の地方事務所指導課に電話して確認したところ、いずれも鍵付き収納が必要とのことでした。ないと機構指導課が実地検査する際、指摘するとも。
実際いくつかの企業で指摘をもらい、早急に鍵付き収納を購入し設置してもらったことがあります。
監理団体としては「そんな重要なことであれば明文化してくれっ」と思っていました。
受入企業からよくある質問に、「スーツケースではだめなのか?」というものがありました。
外国人技能実習生が本国からもってきたスーツケースならば、大きいし鍵付きだし、なにより実際問題、本人たちがそこにパスポートなどの重要なものを保管しているからという理由です。
ところが、指導課に聞いた答えは、NOでした。
理由は、受入企業が用意していないからというものでした。措置を講じるのはあくまで技能実習実施者側であるべきで、外国人技能実習生の私物を流用するのは筋違いだからだそうです。また、スーツケースでは持ち出し可能なのでNGとも言われました。固定できる収納でないとだめだそうです。
では実際に鍵付き収納を設けたところ、技能実習生たちは利用しているかというと・・・。
私が訪問した数少ない宿舎では、100%利用していませんでした。
ヽ(´Д`;)
そもそも彼らに、宿舎に鍵をかけるという発想がないようです。
「鍵をかけるんだよ?盗難とかあるからね?誰かが部屋に勝手に入ったら怖いでしょ」と言っても、ニコニコして「ハイ!ワカリマシタ!センセイ」と返事するんだけど、施錠してくれないです。
部屋ごとに施錠できるアパートでも施錠していなかったヨ!おかげで監査のとき内見できましたが。それでいいんかい!!
だから、せっかく企業がお金と手間暇をかけて施錠できる金庫を用意しても、新品のまま、それこそ鍵がビニールのジップロックに入ったまま放置されている状態ということもありました。まさに、無駄。
しかし、指導課が実地検査しに来たときには必ずチェックするので、監理団体としてはご用意くださいとしか言えず、用意してくれない企業には監査の際、指摘事項として記載するしかなく、「なんだかなー」と思っていました。
今回ようやく運用要領に明文化したのは、指導課としても根拠のない指導をしてるという批判を避けたかったからでしょうかね。いちいち監理団体から問い合わせがあるのもうざいでしょうから。
-
前の記事
国内最高齢者ご逝去【厚生労働省の報道発表資料】 2022.04.28
-
次の記事
副業で週40時間は可能か?本業でも週40時間の場合 2022.04.30