報道について思うこと
こういうニュースを読みました。
技能実習は廃止、政府が提案 国内での「人材確保」明記した新制度へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/cec23403c8a53dc05eafc7dea5a9722dd08f0ff9
これまでの「開発途上国への技能移転」という目的をやめ、特定技能にキャリアップするための「人材育成」制度とするそうです。
私は以前、外国人技能実習生を受け入れる監理団体の仕事をお手伝いしていました。
そこでは、外国人技能実習機構(通称、「機構」)という民間企業(国の認可あり)が取り締まり役を担っていまして、機構の前では私たちは、外国人技能実習生たちも含めて、外国人技能実習生たちが日本に来たのはお金を稼ぐためではなく、技能を習得するためであるということを言わないといけないのでした。
たとえば、機構が実地検査に来たとき、現場で外国人に話しかける訳ですよ、「あなたは、日本に何のために来ましたか?」って。
それに対して、外国人技能実習生が「お金を稼ぐためです!」と正直に言ったら、ちょっと差しさわりがある訳です。
その技能実習生に罰則とかはありません。
しかし、受け入れた企業や監理団体が、「何を教育していたんだ!」と、怒られる訳です。^^;
仕方がないので、みんな「技能を学ぶためです」と判で押したように言ってもらっていました。
内心、「なんだかなあ・・・」と思いながら。
今退職し、自由になった身で、裁判所に行って傍聴しています。
たまに刑事事件を傍聴します。
不法滞在をした外国人の裁判です。聞けば、元外国人技能実習生ではないですか。私が担当だった人ではありませんが、どこぞの監理団体、どこぞの企業から逃げて、不法滞在となったようです。
そこでは、裁判官も弁護士さんも元外国人技能実習生もみんなが正直です。
弁護士「何のために日本に来ましたか?」
被告人「お金を稼ぐためです!」
裁判官「・・・」(ふむふむとうなずき、特に疑問も抱いてない様子)
傍聴している私だけが滝汗です。
そ・・・・・それで、いいの!?
機構の人が聞いたら憤死しそう・・・。
今回ようやく制度を廃止し、建前だった技能移転を廃止するということで、喜ばしいことだと思います。
ただ、現場で今も外国人技能実習生と関わる仕事をしている人たちは気の毒だな・・・と思います。ずっと矛盾に苦しんできましたから。制度が完全に変わるまでは、その矛盾を抱えながら仕事をしなければなりません。
何より、外国人技能実習生たちが気の毒です。
どうか、よりよい制度になりますようにと、願ってやみません。