【外国人技能実習生】玉掛の特別教育と技能講習

夫が仕事で珍しくOffJTしてきました。玉掛技能講習を3日間です。

夫が受けた技能講習のテキスト。

玉掛といえば、外国人技能実習生の監査をしていたとき、特別教育をしたのに全く記録を残していなかった受入機関があり、困りました。修了証を発行して本人たちに渡し、それで満足してしまったようです。

しかし、事業者は玉掛の特別教育を実施したときは、記録を残す義務があります。

そもそも玉掛って、何

玉掛というのは、重たいものをクレーンを使って運ぶとき、荷物にワイヤーを掛けてフックにひっかけてクレーンとつなぎ運ぶ、その荷物にワイヤーを掛けてフックに引っ掛けること(また、外すこと)をいいます。クレーンで運ぶ作業自体は玉掛とは言いません(よくある勘違い)。

なんで玉掛というかと、フックの形が勾玉に似ているからとか、ワイヤーのアイが玉みたいな形だからとか、掛軸をつるすときに使う玉の機能と似ているからとか、諸説あります。

特別教育と技能講習の違い

玉掛はつり上げ荷重が1トン未満かどうかで、特別教育か技能講習かに分かれます。

つり上げ荷重が1トン未満なら特別教育を受けさせる必要があり、1トン以上なら技能講習を受けさせる必要があります。荷物がたとえ1トン未満であっても、クレーンのつり上げ荷重が1トン以上なら技能講習となります。

外国人技能実習生の場合、この玉掛はほぼ特別教育になります(技能講習もない訳ではないけど)。まだ日本語がそれほど慣れていない彼らに、早い段階でこの教育をするのが、結構大変でした。たいてい通訳さんが一日がかりで、つきっきりで寄り添って説明しないと無理でした。

企業によっては、特別教育で十分なのにわざわざ教習所を予約し、外国人技能実習生に技能講習を受けさせるところもありました。正直言って、現場で教育をしている暇がないんですね。教える従業員にも負担になるし、それなら外部で専門家にやってもらった方がよいという考え方です。ただし、お金はかかります。

玉掛の特別教育を外部教育機関に頼むと、だいたい1人17,000円~19,000円のところが多いです。一方、玉掛の技能講習になると、1人27,000円~29,000円となっています。技能実習生が3人いるところでは、軽く10万円がとんでいくのです。さらに、特別教育は事業者の法定義務ですから、教育している時間は労働時間となります。ちゃんと賃金の支払いも必要です。この辺を理解してもらうのは、割と簡単でした。安全衛生教育にお金がかかるというのは、どこの現場も共通認識のようです。

教育日数も、特別教育の場合2日間、技能講習は3日間としているところが多いです。

特別教育を自社で実施したとき

外部の教育機関を頼らず、社内で玉掛の特別教育を実施してもよいです。この場合、所定の時間、所定の内容で実施します。

区分講習科目時間
学科クレーンに関する知識1時間
玉掛けに必要な力学に関する知識1時間
玉掛けの方法2時間
関係法令1時間
実技クレーン等の玉掛け3時間
クレーン等の運転のための合図1時間
合計9時間

特別教育を実施したら、教育者名や受講者名、教育した内容や時間などを記録し、3年間保存します。よくある勘違いに、受講した実習生に特別教育修了証を渡す必要があると思っている事業者さんがいるのですが、特別教育修了証は事業者には義務付けられていません。しかし、渡すと大変喜ばれますし、別の事業者で働く可能性もありますので(3号になったときや、特定技能外国人に在留資格が変わったときなど)、監理団体としてはぜひ修了証を渡してあげてくださいとお願いしていました。監査の際、確認するのも、特別教育の実施記録より修了証の方が多かったです。

特別教育の実施記録には特別なフォーマットはありませんが、Web上にありふれていますので、それらを参考にWordやExcelなどで作ってもらっていました。

参考に、教育記録管理簿のフォーマットのリンクを貼っておきます。

https://www.usefulhp.com/business/kyouikukunren.html

技能講習の場合は試験もある

夫が受けた玉掛の技能講習は3日間のうち、最初の2日間は座学で、最後の日が実技になります。

実技では最後に試験もありまして、夫の話では「落ちる人はいない」だそうです。

必ず受かるように試験してくれるということらしいです。ただし、10%以上目測を誤ると「んんん?もっと下だろ!」というように、ビシバシ指摘を受けるとのことでした。

知りませんでした。外国人技能実習生たちは、試験は大丈夫だったのかなあ?今さらながら心配になりました。通訳さんたちがフォローしてくれたとは思うのですが。