年金今昔【国民年金】 – 今は昔とだいぶ違いますね

年金相談実務者研修のe-ラーニングを実施していて、私が現役だった頃(1998年)からだいぶ変わったなと思うことがありました。

クレジットカード払い

現在では、国民年金の保険料をクレジットカードで支払うことができます。以前はありませんでした。

国民年金保険料の納付に利用できるクレジットカード

以前は納付書か、口振のみ。しかも、口振による前納制度が大変不自由でして、1年前納か半年前納しかなかったと思います。今は、口振による2年分前納も可能ということです。

国民年金前納割引制度(口座振替 前納)

産前産後免除制度

国民年金でも産前産後の期間の国民年金保険料が免除されます。これは平成31年(2019年)4月から始まった、比較的新しい制度です。昔はありませんでした。

ふつうの申請免除と違って、年金額に保険料を納付したものとして反映されます。

国民年金保険料の産前産後期間の免除制度

産前産後期間の国民年金保険料が免除されます!リーフレット

受給資格期間が25年でなく10年

何と言ってもこれでしょう!この制度改正のインパクトはかなり大きいと思います。

私が昔年金窓口にいたときには、25年でした。25年というと、けっこう長いです。25年間の受給資格期間を確保することは、難しいものだと感じていました。

収監者の免除申請書

例えば、収監者。たとえ牢屋に入っていてお金を稼ぐことができなくても、国民年金の保険料はかかってきます。免除申請書を提出できればいいけど、たいていの場合出せません(そういう免除制度へのアクセス自体が絶望的な環境です)。

実際にいたのですが、20年近く収監されていた方が出獄して、さあさまざまな手続きをしましょう!と市役所の窓口に来ました。年齢は50代後半です。今から国民年金をかけても25年分をかけるのは絶望的でした。それでも障害になった場合の年金制度もあることを説明し、免除申請の手続きだけはしてもらいました。

今なら10年で年金がもらえる訳だから、あのような境遇の方であっても少しは未来に希望を持つことができるのかなあと思います。全くのゼロと、ほんの少しでも年金が出るのでは、全く心の持ちようが違いますから!

悪いことしたから収監されている訳で、そんな人たちに免除制度を使わせる必要があるのかというご意見があるかもしれません。しかし、そういう人たちが生活の基盤となるものが全くないまま社会に戻ってきたときに、何も食べることができなければ、絶望し、反社会的になり、また犯罪に走る・・・なんてことになる可能性が少しでもない方がよいと、私は考えます。

また、そもそも国民年金の免除制度と、犯罪を犯した人かどうかは全然別次元の問題であって、罪は罪としてちゃんとつぐなってください、しかし、国民年金の保険料を滞納しているのは困ります、払えないなら免除制度がありますので、ちゃんと申請してね!と思うのです。

というわけで、当時収監された方の行方を追って、あちこちの刑務所に免除申請書を送ったものでした。中には送り返されてきたものもある(そんな受刑者はいませんという、けんもほろろな対応でした)のですが、ちゃんと免除申請書を提出してきた受刑者もいました。

今も、収監者に免除申請書を送っているのかなあ?当時、ちゃんとマニュアル化はしてきましたし、後任者にも引き継いだのですが。

以上、年寄りの昔話でした。