【外国人】技能実習法に基づく行政処分等の報道【厚生労働省】【法務局】

2022年6月28日は火曜日でしたが、技能実習法に基づく行政処分等を行いましたという報道発表がありまして、驚きました。

技能実習法に基づく行政処分等を行いましたの報道

これまでは毎月最終金曜日が多かった

なぜ驚いたかというと、これまでの行政処分は毎月最終金曜日が多かったからです。

ためしに最近の技能実習法に基づく行政処分の報道発表の日を確認してみると、

  • 2022/06/28(火)
  • 2022/05/31(火)
  • 2022/04/28(木)
  • 2022/03/25(金)
  • 2022/02/18(金)
  • 2022/01/28(金)
  • 2021/12/21(火)
  • 2021/11/26(金)
  • 2021/10/22(金)
  • 2021/09/17(金)
  • 2021/08/27(金)※
  • 2021/07/27(火)
  • 2021/06/25(金)
  • 2021/05/28(金)
  • 2021/04/23(金)

となっていまして、圧倒的に金曜日が多いのです。

なので、最終金曜日が近づくと、毎回ソワソワしたものでした。

今回発表される企業の中に、関与先企業はないかな?と。

直近3か月は金曜日にこだわらず、最終週に発表するのが定番となりつつあります。

この辺のルールというか、方針は謎です。当局の都合の良いときに発表している感触です。

※この8月のは行政処分の発表ではなく、令和2年分の監督指導、送検の状況を公表したものでした。行政処分したそのものの公表はこの月はありませんでした。

処分の内容

処分にはだいたい4種類ありまして、

  • 監理団体の許可取消
  • 監理団体への改善命令
  • 受入機関(企業)への計画認定取消
  • 受入機関(企業)への改善命令

です。法律上は他にもありますが、実際に下された処分は(私の知る限り)これだけしかありません。

監理団体の許可取消

これは制度発足(2017年)後しばらく処分がありませんでした。

2018年12月に1団体が許可取消に、2019年10月に2団体が許可取消になりましたが、現在にいたるまで30件ちょっとしか取消になっていません。

また、2018年取消の2団体は、まだ外国人技能実習生の受入を実施する前の段階での取消だったという話です。

これって、単にスケープゴートにされたんじゃないの?
今なお現在進行中なところは、行政処分しないの?
今すでに水面下で行われていることは、既得権益として、
これらか新規参入してくるところは摘発し行政処分するってコト?

監理団体の許可取り消しについての考察 – PRE-STAGE

と、当時歯に衣着せず批判したサイトもありました。

その後ちらほら許可取消は出ましたが、他の行政処分に比べて、監理団体の許可取消件数は多くありません。

監理団体への改善命令

最初に改善命令があったのは2020年6月です。それもかなり大手の監理団体に対して出されました。

改善命令の場合は、許可取消と違って監理団体という組織自体は継続できます。ただし、一般許可(3号受入ができる)は取消となりますので、2号で終わり、技能実習生は3年経つと帰国するか、他団体へ移籍して3号に進むなどしないといけなくなるので、監理団体としてはかなり痛手となります。

改善命令が出るときの理由としては、監査をまともにやっていないからというのが多い印象です。3か月に一回、受入企業へ行って監査を実施するのですが、ちゃんと監査していなかったり、そもそも3か月に1回行っていなかったり、いろいろな理由で監査に不備があると、監理団体に対して改善命令が出ているようです。

逆に言うと、それだけ監査が監理団体にとって重要な任務だということだと思います。

受入機関(企業)への計画認定取消

件数としてはこれが最も多いです。ほぼ毎月処分があります。

一番最初に計画認定取消の処分が行われたのは、2018年7月です。このときは1社だけでしたが、その後まとめて何社も認定取消の処分が公表されるようになりました。

大企業も例外はありません。

計画認定取消を受けると何が痛いかというと、5年間は外国人の受入ができなくなることです。入管に申請を出しても認めてもらえないのです。

人手不足で倒産する昨今、外国人の受入ができなくなったら死活問題です。

計画認定取消の理由はさまざまです。労災が発生して送検されると、たとえ外国人が労災に遭っていなくても計画認定取消となります。機構の実地検査の際、虚偽の書類を提示したという理由もあります。

受入機関(企業)への改善命令

件数は多くありませんが、受入企業も改善命令を処分されることがあります。改善命令の処分理由には、一番最初に処分された大企業への処分理由は細かく書いてありましたが、以降はあまり具体的でなく、「技能実習計画に従って技能実習を行わせておらず」「改善命令を行う必要があると認められたため」というのが定番の理由となっています。

行政処分となる理由

ここからは行政処分となる理由について、私個人の独断と偏見による解釈を披露したいと思います。

まず、虚偽の書類提示は一発アウトです。監理団体も受入企業も、嘘の書類を機構に提示してはいけません。監査報告書も偽造してあるのがバレたらアウトです。なんでもそうですが、嘘はいけません。

暴力は、意外にも一発アウトになりません。個人的には暴力こそ一発アウトにしてほしいと思っているのですが、暴力があったと通報があったとしても、まず調査があり、事実なら何回か機構による行政指導を経て、それでも改善されないときに、ようやく行政処分になるようです。

だからと言って暴力をふるうのはダメです!ダメ!絶対!!

それから、監理団体が送出機関からバックマージンをもらっていると、一発アウトです。外国人技能実習生に誓約書を書かせ、失踪したら罰金を払いますというようなことを約束させるのもアウト。お金関係はとにかく厳しいですね。黒い歴史のある部分だけに、処分も苛烈です。監理団体に対して機構が実施する1年に1回の実地検査においても、領収証や経理の帳簿類は、非常に丁寧に、細かくチェックされます。少しでも疑義があると、徹底的に調査されることになりますから、黒いお金は絶対に作ってはいけません。

監理団体が監査に行っていなかったり、所定の監査の手続き(監査報告書を定期的に機構の指導課に提出する等)をとっていないと、改善命令となることが多いです。これも調査がまずあって、事実確認できると今度は機構による行政指導があるのだと思います。その行政指導を経てすぐに改善できればOK、できなければ改善命令になるのかなあと思います。改善の見込みが全くない(行政指導にまともに取り合わない、機構からの問い合わせを無視するなど)の場合は、一発アウト(=計画認定取消)となります。

送検は一発アウトです。どのような場合に送検となるかは、いろいろです。死亡がからむ労災だったり、最賃法違法だったり。いずれも、発端でまずは当局が丁寧に指導するはずですから、その段階で改善し是正していればよいのですが、中にはとても残念な企業があり、まともに行政の指導を受けようとしない企業があります。法律なんて守っていたら会社がつぶれるぞ!?とすごむ社長がいるんですよ。

そういうところは、もう外国人技能実習生なんて受け入れてはダメですね。外国人技能実習生を受け入れる=行政からの口うるさい指導を受けると同義です。それが嫌なら社長ひとりで働いてくださいと思います。人を雇うからにはルールがあります。そのルールを守れないなら、人を雇ってはいけません。ましてや外国人を受け入れてはいけません。