ユニークな懲罰規定【就業規則】
就業規則を拝見するとき、私は最初に懲罰規定を見てしまいます。そこに会社の特色が現れやすいからです。
異様に長い懲罰規定
ある企業の懲罰規定はとても長いものでした。就業規則が全部で30ページあるところ、懲罰規定だけで半分の15ページを費やしていました。
読んでいてクスッと笑ってしまったのが、「使用者に無断で職場内恋愛をした場合」とあった部分です。そんなことまで!?と思うような規定までたくさん書いてあって、過去にこの企業では何かそういうトラブルがあったのかもしれません。
免停になったら奉仕作業の規定
ある企業では、車の運転免許が停止になった場合は奉仕作業をするという規定がありました。
交通違反者が社会貢献のコースを選んで、路上で「安全運転」「スピード落とせ」の看板をささげて立っていることがあります。あれのことかな?と思ったのですが、違いました。
会社の駐車場の雑草をとったり、工場内の煤を払ったり、土日などの会社が休みの日に出勤して、無償で奉仕活動をするというものでした。
免停がなぜ奉仕作業??と、ちょっと疑問に思いましたが、その会社で定着している規程のようですし、始末書を書いてうわべだけの反省をするよりも、会社に実利のある奉仕作業の方が従業員の理解を得られているので、これはこれでアリなのかなと思いました。
毎月懲罰委員会を開催する企業
ある企業では、毎月懲罰委員会を開催していました。
毎月末に近くなると、係長以上の役職者を集めて、懲罰報償検討委員会なるものを開催していました。
懲罰対象となる事案があったかどうかだけではなく、報償対象となる事案があったかどうかも検討するというタテマエでしたが、実際には懲罰対象だけが議論されていたようです。
委員会で取りまとめて、給与支払者である使用者に提出し、使用者は給与の支払決定をする際の参考にするということを毎月実施していました。
この懲罰委員会のあった会社では、深刻な問題が起こりました。
従業員が、ミスをしても報告しなくなってしまったのです。
ミスをした場合、懲罰委員会の事案となりますから、給与が減らされる可能性が出てきます。
それを恐れた従業員が、ある重大なミスを犯しても上司に報告せず、そのまま放置し、数ヶ月経ったあるとき退職してしまいました。
ミスが発覚したのは、退職後でしたので、どうにもなりません。
個人的にはこういう懲罰委員会は毎月開催するようなものではないと思っています。このようなミスを隠すという悪しき習慣を作るだけでなく、職場の人間関係が大変ギスギスしたものとなるからです。
また従業員がミスした場合、それによって被る会社の損害の全てを従業員に負担させるのは不公平です。なぜなら、会社は従業員のおかげで利益を得ているはずで、不利益のときばかり従業員に負担させるのは、ずるいです。
結局この企業の懲罰委員会はまもなく廃止となりました。
勝手に飲み会に行ってはならない規定
職場に無断で従業員同士で飲み会に行ってはいけないという規定も見たことがあります。
私生活をここまで会社が制約することができるのか?と疑問でした。
実際にはその企業では、上司に内緒で同僚同士で頻繁に飲み会をやっていたようです。それを職場でおおっぴらに話すことはなかったようですが。
こういう規定は、面従腹背の従業員を増やすだけだと感じています。
就業規則は社会保険労務士に
どのような懲罰規定がよいかは、会社によって変わります。ある会社にとって良い規定であっても、別の会社では全く使えない規定となることもあります。したがって、厚生労働省が公表しているモデル就業規則や、別の企業の就業規則というものは、そのままでは自社では使えないのです。自分の会社にあうようにカスタマイズが必要となります。
社会保険労務士は、さまざまな企業の就業規則を見ていますから、どのような規定にすれば一番その企業にとってよいか提案することができます。
就業規則に迷ったら、ぜひ社会保険労務士にご依頼ください。
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