年間合計休日日数
年間合計休日日数を雇用条件書に記載するときの注意をまとめました。
通常の場合
変形労働時間制を使わず、通常通りの労働時間の場合、所定労働時間に応じて、年間合計休日日数の下限値は変わります。
所定労働時間が8時間なら、1週間40時間という法定労働時間を超えないためには、週5日しか労働日を設けることはできません。
したがって、年間合計休日日数は、105日以上である必要があります。
これを計算式で書くと、次のようになります。
- 365日×(40時間÷7日)=2085.714時間(←これが年間合計労働時間の最大時間数です。)
- 2085.714時間÷8時間=260.7143日(←これが年間合計労働日数の最大日数です。)
しかし、半端な日はありえないので、小数点以下は切り捨てます。したがって、労働可能なのは260日以下となります。
- 365日-260日=105日
このように、法定労働時間を超えていないかどうか、計算によってチェックすることができます。
うるう年の場合や、所定労働時間が7.5時間など、イレギュラーな場合も同様の計算方法で確かめることができます。
変形労働時間の場合
1か月単位の変形労働時間制の場合
1か月単位の変形労働時間制の場合、1か月ごとに労働可能時間数の上限が定められています。
大の月(31日ある月)なら、
- 31日×(40時間÷7日)≒177.14時間
小の月(30日ある月)なら、
- 30日×(40時間÷7日)≒171.42時間
2月のように28日しかない月なら、
- 28日×(40時間÷7日)=160時間
となります。
もし所定労働時間が1日8時間と決まっている企業ですと、
- 大の月は、22日が最大労働可能日数(休日は9日以上必要)
- 小の月は、21日が最大労働可能日数(休日は9日以上必要)
- 28日の月は、20日が最大労働可能日数(休日は8日以上必要)
ということになりますので、これを暦年12か月分に当てはめますと、107日以上の休日が必要となります。
1年単位の変形労働時間制の場合、所定労働時間が8時間なら合計休日日数は105日以上必要ですから、1か月単位の変形労働時間制の場合、それより2日も休日が多く必要となることに注意です。
1年単位の変形労働時間制の場合
1年単位の変形労働時間制を採用している企業の、1日の所定労働時間が8時間である場合、通常の例と同様で、1年間の合計労働時間の最大は2085.71時間となりますから、これを8時間で割って260.71日が最大労働日数となります。
しかし、半端な一日というのは現実にはありえませんので、小数点以下は切り捨てます。
したがって、260日が最大労働日数となり、365日から260日を引いて出た105日が、年間合計休日日数の最小となります(雇用条件書に記載する数値はこれ以上である必要があります)。
書き方が分からないなら当局または専門家へ相談を
以上の計算方法は基本となる考え方で、所定労働時間が6時間の場合、うるう年の場合や、変形期間が3か月単位、4か月単位の場合など、複雑なケースでも応用で同様の計算方法が可能です。しかし、なかなか難しくめんどくさいものです。
雇用条件書の合計休日日数の書き方が分からないときは、まずは労働基準監督署などの当局に相談しましょう。親切に教えてくれます(私の経験上では、ですが)。しかも、ただです(電話代はかかります)。
労基署に電話するのが敷居が高いのであれば、社会保険労務士などの専門家に問い合わせるのも一つの手かと思います。
なお、当事務所では雇用条件書のチェックなども承っております。
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