【労務相談】1分単位で労務管理しているのにだらだら休憩する従業員・・・控除してもいい?
- [記事公開]2022.10.18[最終更新]2022.10.26
- 労務相談
労務相談です。
相談内容
1分単位で労務管理している会社で、休憩時間でもないのに売店(自動販売機)へ行ってドリンクを購入したり、お茶を飲みながら同僚と歓談している人たちがいます。こういう人たちのこういう時間は、ちりも積もれば結構な時間になります。
こういう時間を控除したいのですが、実際どれくらい控除したらよいか分からないので、その代わり朝はタイムカードを押してから始業時刻になるまでと、終業時刻からタイムカードを押して帰るまでの時間はカウントしないことにしてもいいと思うのですが・・・?
私の回答
二つの観点から問題があります。
まず一つ目。控除したいということは、ドリンクを買いに行ったり、同僚とおしゃべりしている時間が労働時間ではなく休憩時間であるとお考えであるからと思いますが、違いますか?
もし休憩時間だと主張するなら控除は可能かもしれませんが、休憩時間とは労務から完全に解放されている必要があります。
電話がかかって来たらすぐに出たり、来客があったらいつでも呼び戻せる状態では、休憩時間を与えたことにはなりません。手待ち時間と同じ扱いになります。つまり、労働時間です。
したがって、控除することはできません。
二つ目の問題点。朝タイムカードを押してから始業時刻になるまでと、夕方、終業時刻を過ぎてからタイムカードを押して帰るまでの時間も、労働時間としてカウントし、賃金を支払っているとのことですが、その時間を支払わないように変更することは、不利益変更となりえます。
労働契約法にはある一定の手続をした場合には変更できると書いてあるのですが、この一定の手続きのハードルは非常に高く、結果的に不利益変更はできないと思っていただいてよいです。
そもそも、売店に行く時間、同僚と歓談する時間が休憩時間でないのですから、控除する前提を欠いています。
ドリンクを買いに行くこと、同僚と雑談することで職務専念義務違反となっていることと、始業前終業後の時間とは、全く別の問題です。等価交換できるものではないのです。
以上、二つの理由からご質問のような変更は難しいと考えます。
職務専念義務
なお、労働時間中は職務専念義務を就業規則において明記しておくことをおすすめします。
労働契約したら当たり前に労働者は仕事に一生懸命になるものと思うのは、期待しすぎです。
ちゃんとそれも契約書に書きましょう。
書いてないのに、仕事中にだらだらしていた!と怒るのは筋違いです。
契約書にいちいち書くのがめんどうなら、就業規則に書いてしまいましょう。
もう書いてあります?それなら・・・・
それなら、時間中に勝手に売店に行ったり、だらだらと同僚と歓談している労働者には職務に専念するよう声をかけるとよいでしょう。
それでもいうことを聞かない場合であっても、賃金からの控除はできませんが、人事評価に反映させることはできます。
ちゃんと日付と内容、どういった働きかけをしたか、メモして残しておいてくださいね。単なる感覚で人事評価はしていませんよね?
また、始業前の時間、終業後の時間について、タイムカードとの差が15分を超えるような人が多い場合には、制度を見直す必要があると思います。まずは実態を調査し、もし30分も早く来ている人がいるなら、なぜそんなに早く来ているのか聞き取りをする必要がありますし、終業時刻後30分経っても残業を命令してもいないのに残っている人がいるなら、これもなぜいつまでも残っているのか聞き取りをし、早く帰るよう促す(うながす)必要があるでしょう。
勤務時間中には職務に専念してもらいたいこと、その代わり休憩時間にはちゃんと労働から解放すること、始業前終業後には仕事と関係がない場合は早く来たり遅く帰ったりするのは困ることを、朝礼やメールを利用して労働者に周知してください。
そういう働きかけをしないで、売店に行くのをただ眺めていたり、雑談をだらだら続けるのを放置しているのは、それこそあなた(社長)のマネジメントの怠慢だと思います。
まとめ
以上、仕事中に自主的に休憩をとりだらだらとしている従業員を抱える会社の担当者さんからの労務相談に答えてみました。
ところで、私だったらある程度の雑談は大目に見ます。雑談からアイディアが生まれることは多いので。
また、暑いときのドリンクは熱中症予防として効果的です。飲み物を買うくらいは見逃してもいいと個人的には思います。逆に職務専念義務があるからといって、のどが渇いても何も飲まず、熱中症で倒れられたら、今度は会社の安全配慮義務違反を問われてしまいますから。
-
前の記事
15分単位の労務管理が今も残り続ける訳 2022.10.17
-
次の記事
【WordPress】投稿した記事の本体【SQL】 2022.10.19