民事裁判を傍聴2

民事裁判を傍聴しました。今回は証人尋問です。

以前傍聴したときの記事はこちら↑です

弁論と証人尋問

弁論のときの民事裁判はたいてい短いです。5分くらいで終わることもあります。

あらかじめ書面で提出してあるからのようです。弁論期日当日はすでに提出した証拠書類の原本を確認しあうだけで、あとは次回期日を決めて終わってしまうこともしばしば。

傍聴席にいる私としては、何が話し合われているのかさっぱり分からないので、あとで裁判記録を閲覧して確認するしかないです。

ところが、証人尋問のときは違います。

実際に証人となる方が出廷して原告側代理人、被告側代理人双方から質問されますので、何でもめているのかがよく分かり、聞きごたえあります。

たいてい午後に行われます。長さは2時間くらいのことが多いです。

傍聴席も起立

傍聴席にいるとき私は基本的に座って話に耳を傾けているのですが、起立しないといけない場面があります。

冒頭の裁判官が入室してきたときと、最後に裁判官が退出するときです。

その2回は毎回起立しています。

証人尋問があるときは、さらにもう1回起立しないといけない場面があります。証人が宣誓するときです。嘘を言わず真実のみを言いますと宣誓するのです。

その際、誰かが「起立!」と号令をかける訳ではなく、裁判官、書記官、速記者、弁護士、原告、被告全員が当然のように起立しますので、傍聴席にいる私も起立するようにしています。

うっかり座ったままでいると裁判官に「傍聴席も起立してください」と声をかけられます。

みんな真剣

当たり前ですが、裁判官はじめ、全員がものすごく真剣に証人の話に耳を傾けています。傍聴席から見ていたら、裁判官が身を乗り出してしっかり証人のことを見ていました。話している内容だけでなく、どういう態度で、どういう話し方をするのかまで見ているようでした。

証人によっては、食い違う発言をすることもあります。原告側の証人が言ったことと真っ向から反対のことを言う証人です。そういうときでも、裁判官はじっと聞いています。ときには鋭い質問をすることもあります。

もしかしたら、心証というのは、こういうときに形成していっているのかなと思いました。

心証というのは、裁判官が判決するときに基づくものです。民訴法247条にあります。

裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を採用すべきか否かを判断する。

自分とは異なる主張をする相手方を、当事者たちもじっと見ています。きっと言いたいことがいっぱいあるのだろうな、自分とは違う主張する証人のことをどう思っているのだろうなどと、部外者である私は考えます。私も真剣には聞いていますが、当事者ではないので、この場にいて申し訳ないなという気持ちが少しあります。

和解勧告

裁判所の判断で、判決言渡しではなく和解が勧告されることがあります。

そういうときは別室で和解勧試の手続がとられます。これには傍聴人は当然同席できませんので、どういった手続きなのか私には分からないです。

でも証人尋問を聞いていると「これは白黒はっきりさせるより、話合いで解決した方がいいのにな・・・」と思うことがありますので、和解が勧告されるのは個人的に嬉しいです。

逆に、「これはもうもめにもめているから和解は無理だわ!裁判官さん、白黒つけてよ」と思うこともしばしばあります。むしろこっちの方が多いです。

裁判になる前に

労働紛争を傍聴していて気が付いたのですが、たいていの労働紛争は裁判に至る前に何かしらのアクションがあるものなのですね。

例えば裁判所の労働審判。

労働審判で解決せず、地裁に提訴するという流れが一つあるようでして、確かに裁判所で判決を出してもらった方が強制力があるので当事者にとってメリットがあるように思えるのですが、一概にそうとも言えないようです。裁判で強引に解決するより、話合いで解決できた方がのちのわだかまりが残らないような気がするのです。特にこれからも相手方と付き合いが続くような関係であるならば。

和解の勧告なら労働審判でもされたでしょうに、なぜその段階で解決できなかったのだろうと思います。

裁判になると長いです。裁判所が判決するに熟したと判断するまで弁論が続くからです。たいてい1年くらい、長いものですと3年以上かかります。ところが労働審判であれば3か月以内で終わります。しかも訴訟は原則公開ですが、労働審判は非公開です。私のような部外者に傍聴される苦痛も、労働審判では味わないで済むのです。

今回私が傍聴した事件も労働審判で解決せず提訴し、1年以上争ったものでした。

他にもADR(裁判外紛争解決手段)を経て裁判所に来るケースも多いようです。