労働契約法ができるまで
以前こういう記事を書きました。
このときは特になんの先入観もなく、期待もなく、ただ普通に疑問に思ったことを書いただけだったのですが、・・・・。
労働契約法ができるまで、ものすごく紆余曲折があったのですね。
労契法の制定過程では、『今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書』(2005年9月15日)において、出向・懲戒・解雇以外にも、「労働関係の展開」という項目の下、配置転換や転籍、休職、昇進・昇格・降格なども体系的に列挙されていた。また、「労働関係の終了」という項目には、合意解約や辞職も含まれていた。その後、労働政策審議会労働条件分科会の答申(中略)では、転籍を除いてこれらは盛り込まれず、法案段階でさらに転籍が抜けることになった。最終的に法案に結実したのは労使の合意を得られた事項のみであった(後略)
労働基準法・労働契約法 第2版 (別冊法学セミナー ; no.263. 新基本法コンメンタール)より[第3章]労働契約の継続及び終了(奥田香子)冒頭解説部分
審議会の議事録を読み、図書館で本を読み、公労使の話し合いがもめにもめたことが分かりました。もめたのは労使でして、公はその間に立って両者の意見を聞いて妥協点を探る立場であったようです。
当時の審議会議事録を読むと、議事録にした時点で相当程度言葉遣いやニュアンスが弱められているものと思いますが、それでもあからさまに労と使が対立する言葉を交わしていて、読んでいてドキドキしました。
なぜ配転がないのか、配転のどこが労使で意見が分かれたのかという疑問を私は持ちましたが、そんな各論レベルでもめたのではなく、総論レベルでもめたのでした。
例えば、”そもそも今なんで労働契約法を作る必要があるのか”という点ですでにもめています。
それから、”就業規則を労働契約法にもちこむ”ことでもめています(労働者側代表が労働組合の方だったので、使用者が一方的に作れてしまう就業規則を中心にすることに疑問をもったようでした)。
ほかにも毎回本当によくこれだけ意見が対立するな・・・と思うほど、お互いの意見が一致していませんでした。
これをよく今の形の労働契約法にしたなあ・・・と、ある意味感動しました。労使の意見の対立というのは、とりまとめるのは本当に大変ですね。
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