労働時間等設定改善特別措置法

仕事で必要になったので、労働時間等設定改善特別措置法について調べました。

正式名称は、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」です。

この法律は、以前は「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」と言いました。

労働時間の短縮がメインだったんですね。

ところが法律名から短縮の文字が消えて、今の名称となりました。

これはなぜかというと、

労働時間の短縮は着実に進み、近年は、 過去に労働時間短縮の目標として掲げられてきた年間総実労働時間1,800時間 にほぼ近い水準である、おおむね1,800時間台前半で推移している。

しかしながら、その内実を見ると、全労働者平均の労働時間が短縮した原因は、 主に、労働時間が短い者の割合が増加した結果であり、いわゆる正社員等について は2,000時間前後で推移しており、依然として労働時間は短縮していない。

労働時間等設定改善指針

とありますように、今では年間実総労働時間が1,800時間になっているものの、その内訳は、パートやアルバイトなどの短時間雇用労働者が増えたからであり、正社員自体の総労働時間は減っていません。それどころか、いまだに2,000時間という実態があるからです。

そこで、労働時間を1,800時間に短縮することを目標にするよりも、仕事と生活の調和がとれた、持続可能な経済社会を維持していくことをメインにする方向に舵を切ったのが、現在の「労働時間設定改善特別措置法」です。

この法律で規定する事業主の責務として、主なものは次のとおりです。

  • 勤務間インターバル制度の導入
  • しわよせ防止
  • 特に配慮が必要な労働者への措置

勤務間インターバル制度というのは、退勤から始業までの時間(休息時間)を一定程度の長さを確保すると労働者の健康によいことが分かってきたので、制度化してしまおうというものです。

しわよせ防止というのは、労働者の労働時間を短縮したいがために、取引先にその分しわよせが来て、取引先で長時間労働にならないよう、短納期や頻繁な仕様変更をしないようにしようというものです。

特に配慮が必要な労働者への措置というのは、病気療養中の労働者や、介護や子どもの世話をする労働者などに事情を考慮した年休の付与や労働時間設定をするというものです。

いずれも努力義務です。といっても、いずれも労働者にとってよいことですから、会社としてはできるところから取り入れるとよいと思います。

なお、この法律には「労働時間等設定改善指針」というガイドラインが公表されています。実はこの記事を書いたのは、この指針を紹介したいためです。

この指針はネタの宝庫です。

私は本気で過労死をなくしたいと思っていて、そのためのヒントがいっぱいつまっています。

長時間労働が問題となっている企業さんにはぜひ見てもらいたい内容です。

他にもおもしろいのは、このガイドラインの中で具体的な数値目標も示されている点です。

下図は労働時間等設定改善指針で示された数値目標の一部です。

注目してほしいのは⑥の年次有給休暇取得率です。すでに2020年は過ぎていますが、年次有給休暇の取得率の当時の目標が70%であったことが分かります。

ところが、実際には2020年当時の年次有給休暇取得率は56.3%でした。

貴社の取得率はどうですか?

もし70%を切っているなら、このガイドラインを一度読んでみるとよいかもしれません。いろいろな年次有給休暇取得率UPの方法が紹介されています。読みづらかったら下記も見てみてください。比較的読みやすくなっています。

労働時間等設定改善指針(ガイドライン)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000181004.pdf

労働時間等の設定の改善(厚生労働省の専用ページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html