労働時間管理は日々行う

いまだに月に1回、賃金計算のときにだけ労働時間の集計をしていませんか?労働時間管理は、日々やりましょう。

https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

2019年法改正

2019年の法改正により、時間外労働の上限規制が導入されました。大企業は2019年から、中小企業は2020年から適用されています。

この上限規制、次のようなルールとなっています。

1.残業時間は月45時間・年360時間以内(原則)

2.臨時的な特別の事情がなければ原則を超えることはできない

3.臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、原則を越える残業時間は年6か月まで

4.臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、

  ・時間外労働・・・年720時間以内

  ・時間外労働+休日労働・・・月100時間未満、2~6か月平均80時間以内

としなくてはならない。

ルールを守るために

このルールを守るためには、どうしても日々のチェックが必要です。

月に1回、給与計算のときにだけ計算していたのでは間に合いません。

また、注意したいのが1.のルールです。月45時間までだからと言って1年間ずっと毎月45時間残業していたら、あっという間に360時間という上限を超えてしまいます(45時間×12か月=540時間)。

労使で合意するときに、月の上限時間を30時間程度におさえるなど、工夫が必要です。

また、毎日2時間残業していたら、1か月22日働くとして、2時間×22日=44時間となります。

1日の残業時間が2時間を超えないようにしましょう。

4.の時間外労働+休日労働が月100時間未満であること、かつ、直近2か月平均も、直近3か月平均も、直近4か月平均も、直近5か月平均も、直近6か月平均もすべて80時間以内であることというルールは、ほとんどチェックが難しいルールです。法改正当時、こんな管理を会社ができるのか!?と心配でした。

これを真面目に守ろうとすると、どうしても日々の確認が必要です。少なくとも、1週間に1回程度はチェックして、さまざまな上限規制を超えていないか確認しないといけません。

私が関与した企業において、この点両極端に分かれていると感じています。

ほとんど残業をしないことによって上限規制を守る企業(A)と、残業はするけど1日1時間から2時間程度に抑えておき、月30時間を超えないようにする企業(B)と、それ以外(C)です。

肌感覚で言うと、Aが圧倒的に多いです。次いでBが多く、Cの順になります。Bは、ルール1をまもっておけば、必然的に他のルールも守ることになるはずという作戦の企業です。

どうしても守れないときは

業務量が多く、人手不足でどうしてもルールを守れないとお悩みの企業におすすめなのが、勤務間インターバル制度です。

これは退勤時間と翌日の出勤時間との間の時間を会社で管理しましょうという制度です。

インターバル時間は法に決まりはなく、企業で決めてよいのですが、実験の結果11時間あると、もっともパフォーマンスがよいということが分かっています。

長時間労働で疲弊している労働者がいたとしたら、早急に労働時間を減らしたり、休養を取らせたりした方がよいのですが、その人にしかできない仕事があって、すぐには休ませるわけにはいかないといった事情があるなら、ぜひインターバルを11時間以上開けてやってください。

ルールは簡単。退勤から11時間間が空いてないなら出社してはだめと宣言することです。

例えば定時が8時―5時の会社で、労働者が夜10時まで残業したとします。この人は翌日朝8時に出社するのではなく、9時出社でよいというルールにするのです。

この場合、1時間を遅刻扱いにするのではなく、1時間働いたものとみなして給料を払ってもよいし、1時間働いてないのだからその分その日は退勤時刻を後ろに1時間ずらして働いてもらうというルールにしてもよいし、そこは会社で決めてよいです。なお、勤務間インターバル制度を導入した会社では1時間働いたものとみなして給料を払うという取り扱いにしている場合が多いようです。

これだけである程度労働者の体力回復になりますし、11時間間を空けたことにより、1か月のトータルの労働時間を削減できます。

しかし、この勤務間インターバル制度を利用するためには、どうしても日々労働時間を管理する必要があります。なぜなら、労働者が前日から翌朝までインターバルが空いているかどうかをチェックする必要がありますから。

まとめ

労働時間は日々管理しましょう。

いまだに月に1回しか管理していない企業ももちろんあります。そういう企業は、残業時間が月に0~10時間程度と少ない場合が多いです。

しかし、まれに残業時間が異様に多いのに、労働時間管理を月に1回しかやっていない企業があります。そういった企業は早急に対策が必要でしょう。おそらくそういう企業では、労働者が長時間労働で疲弊しています。日々労働時間を管理できないのであれば、労働者を長時間働かせてはいけないのです。