【就業規則】介護休暇の年度

介護休暇は厚生労働省が公表している就業規則例では次のように定められています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/04.pdf

要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/04.pdf

この部分について、法の条文に当たってみると、次のとおりです。

第16条の5 要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(要5介護状態にある対象家族が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、当該世話を行うための休暇(以下「介護休暇」という。)を取得することができる。
(中略)
4 第1項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるものとする。

育児介護休業法(太字下線部分は筆者)

いろいろな会社の就業規則を拝見する機会がありますが、この部分については判を押したようにみな4月1日から3月31日となっていて、「本当にそれで運用できるの?」と心配になります。

法の条文に「事業主が別段の定めをする場合」とありますように、この部分は自社の運用に合わせて「別段の定め」をしてよいのです。厚生労働省が公表している就業規則例はあくまで例ですから、そのまま使わなくてもよいかと思います。

例えば決算が2月末である会社であれば、介護休暇だけ4月始まりですと2か月のずれが発生し、なかなか運用が難しいのではないかと思います。そこで、介護休暇の付与単位の年度も、決算年度に合わせて変えたらどうでしょう。次のようになります。

要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、3月1日から翌年2月末日までの期間とする。

たったこれだけの修正ですが、こうしておくことで、いざ介護休暇を必要とする従業員が発生したときに慌てなくて済むのかなと思います。

最近思ったのは、このあたりのカスタマイズは、専門家の目を通さないとなかなか難しいのかな?ということです。ここ最近読んだ就業規則がすべて4月1日から3月31日だったので・・・。

注意!実際に上記のように就業規則を修正する場合、労働者にとっての不利益変更とならないか、十分に注意してください。

就業規則の作成、修正でお困りでしたら、専門家である社会保険労務士にご相談ください。

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