給与計算のチェック
小さな企業では給与計算を社長自身がやっているところが多いです。社長の奥さんや、家族が協力して計算することもあります。社長でない人が計算する場合、思いもかけないミスが発生することがあります。
賃金チェックで誤り
過去にある企業の賃金チェックをしたら、給与計算に誤りがたくさん見つかったことがありました。
給与計算が雇用条件書通りでなかったのです。
原因を調べたら、給与計算している人が、全く雇用条件書を見ていませんでした。
就業規則のない会社でした(従業員10人未満)ので、雇用条件書が重要になってくるのですが、社長と従業員とでかわした雇用条件書は大切にしまわれており、給与計算する別の従業員には見えないところにありました。
「見ていいとは思わなかった」とその担当者の弁。
確かに他人の雇用条件書なんて普通は見ませんが、賃金計算には必要となりますので、必要最小限の情報共有をしておくべきでした。
就業規則でも同様
就業規則でも同様なことがあります。
通常、社長から依頼をもらって就業規則を作って納品します。就業規則の内容は社長とのやりとりがメインです。
納品後、なにかの機会にその企業の給与チェックをしたら、全然就業規則通りになっていないことがありました。
その企業では社長の奥さんが給与計算をしていたのですが、奥さんは納品した就業規則を読んでいませんでした。
納品の際、最終的な読み合わせをしましたが、そのときも社長だけが相手でした。
給与計算する奥さんも同席させておけばよかったと反省しました。
前任者からの引き継ぎで計算
給与計算担当者は、前任者から引き継いだ計算方法で毎回計算しているだけで、根拠も調べず、「前任者がこうやれって言ったから」というだけの理由で計算していることがあります。
前任者が正しいとは限りません。代々給与計算する人が間違っていたという可能性もあります。
法改正もあります。雇用保険料率や社会保険料率はほぼ毎年改正されます。それらを適切に賃金計算に反映させないといけないのですが、ひとりでは気づかないことがあります。
人数がたくさんいる企業なら複数人でチェックもできるのでしょうが、10人未満の小さい企業ですと、賃金チェックをする人材も工数も捻出できないことが多いです。
まとめ
社長一人社員が一人だけの小さな会社なら間違いも起きにくいのですが、人数が増え、会社の規模が大きくなるにつれて仕事を分業していきますので、社長の思惑とは違う給与計算が行われ、ミスが起きやすくなります。そのために就業規則や賃金規定で会社のルールを定めるのですが、周知が足りず、間違った計算が行われてしまうことがあります。
今は給与計算ツールも発達していますから、そういったツールを使うのも一つの方法だと思います。
自社の給与計算に不安があるなら、専門家に相談なさることをおすすめします。
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