市政に不平不満があったら役所でなく政治家へ

地方公務員をやっていたときに、よく役所に苦情がきました。

役所には苦情が多い

役所は苦情が多いです。毎日さまざまな苦情が来ます。

市役所(区役所)の窓口係をやっていた当時、毎日どこかしらで市民が怒鳴っていました。正直、市民が怒るのは日常風景でして、入職して初めの頃は「怖いな・・・」と思った私も、3年も経つ頃にはすっかり慣れて、怒鳴り声が聞こえてきても感覚がマヒして何も感じなくなっていました。

なぜ、市役所に苦情を言うのか?そんなに市役所はミスや手続漏れが多いのか??と最初は疑問でした。私の知る限り、市役所でのミスはそうそうありません。もちろん人がやることですから、間違いが一つもない訳ではないですが、たくさんの人がチェックする体制ができているので、そんなに悪い事務処理はしていませんでした。

それなのに苦情が多いのは、多分市民にとって市役所が苦情を言いやすいからだと思います。それだけ身近にある役所なんだと思います。

また、公務員は待遇がいいから妬まれやすいというような内部研修を受けたことがあります。確かに待遇はよかった方ですが、命がけでしたから(震災が起きると逃げられません。東日本大震災で防災無線中に亡くなった公務員がいましたよネ・・・(´;ω;`)ウッ…)、言うほど待遇がいいか疑問です。公務員をねたむのは筋違いではないでしょうか?

理不尽な苦情

理不尽な苦情が多かったです。たいていの苦情は理不尽だったと言ってもよいです。

国家公務員(例:警察)に対する苦情も来ます。管轄が違うと反論すると「これだからお前らは縦割り行政なんだ!」と、また怒られることになるのでした(理不尽)。

私が対応した苦情の中で、最もばかばかしく、最も理不尽だと思ったのが、「ふりがなをなぜ記入しないといけないんだ?」というものでした。

その方は外国人の妻を持つ男性で、奥様の代わりに書類を書くに当たって、長音記号についてもふりがなを記入するということがどうしても納得できないらしく、「なぜのばし棒にふりがながいるんだ!?」と怒っていました。

いや、怒られましても(;´Д`)

「漢字の一(いち)と長音記号とハイフンとを区別するためではないでしょうか」と一応説明してみましたが、ダメでした。

その方の怒りの真の原因は別のところにあるようでしたが、それが何なのかは分かりません。じっと彼の怒りのサンドバックになるのを耐えるしかありませんでした。

私は市役所に苦情を入れない

公務員OGだからという訳ではないですが、私は市役所には苦情を入れません。

地方公務員に苦情を言ったところで、彼らは法律の下で働いているだけの人たちですから、法律がそうなっている以上、彼らに苦情を言っても無駄なのです。市役所は行政機関であって立法機関ではありません。

行政の采配でできることなら彼らもすぐに対応できるでしょうが、市役所の権限で変えることなんて限られています。

私が苦情を入れるとしたら、政治家です。もしくは市議会。何かを変えたいと思ったら、市役所に苦情を入れるのは時間の無駄です。政治家を探して、政治家に話を聞いてもらうのが一番効果的だと思います。

なぜこんなことを書くかというと、学童保育クラブを親が運営することについて、市役所に苦情(意見)を出している市民の記録を見つけたからです。

高崎市の放課後児童クラブ運営の委託先について(平成30年5月分回答)

親が無償で保護者会で働いていることとか、親にとって負担が大きいこととか、大変お気持ちが分かる提言ですが、この方の失敗はこれを市役所に出している点です。

これは政治家に言うべきです。

三すくみの関係

公務員は市民に強く、

市民は政治家に強く、

政治家は公務員に強い。

これは私が役所にいた当時よく聞いた風刺です。

三すくみの関係図(いらすとやさんから)

市民が苦情を公務員に言っても、公務員には暖簾に腕押し、糠に釘状態です。なぜなら、公務員は市民に強いから。

ところがその公務員は、政治家には頭が上がりません。政治家は市民から選挙で選ばれていますから、公務員に対して強いのです。

そして、その政治家は市民に対して弱いのです。なぜなら選挙のとき投票してもらいたいからです。

以上のような三すくみの関係は、割と実態に合っているような気がしていますが、いかがでしょう?

だから、市民が苦情を言うなら政治家に言うべきだと思うのです。

注意

弊事務所は政治には興味がありません。学童保育クラブを保護者が主体的に運営することについても経験者の立場から、あるいは社会保険労務士として専門家の立場から情報発信することはありますが、具体的に制度を変えたいとか、特定の政党、特定の団体に与(くみ)したりとかはしません。

私の興味はあくまで学童保育クラブの保護者会の親御さんたちの相談にのることです。この辺の事情は、以前ブログに書きました。